著者
藤井 優子 上野 忠浩
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.369, 2019 (Released:2021-10-30)

幼いころ誰もが好きだったブランコ。風を切り揺れる感覚は何とも気持ちのいいものでした。重症心身障害児や座位保持が不安定な肢体不自由児にも、療育の現場では様々な工夫をしながら揺れ遊びを提供してきました。しかし、ベルトやクッションを駆使しても姿勢の安定性に欠け、十分に揺れを楽しめず、抱っこでは子どもの表情が見えず、スピードの調整が難しい状況でした。 今回、横浜市リハビリテーション事業団30周年記念事業としてのプロジェクトに採択されたことをきっかけに、研究開発課とチームを組み、横浜市西部地域療育センターに屋外用車いすブランコ「リバティスイング」を設置し、さらに屋内用姿勢保持機能付きブランコを製作しました。 「リバティスイング」はオーストラリアで2000年に考案され、今やアメリカ、ニュージーランド、イギリス、フランス、スペインなど世界各地に広まっています。http://www.libertyswing.com.au/ 日本には岩手県一関市の遊水地記念緑地公園にあるオーストラリア日本友好公園に1台あるのみです。今回日本の輸入代行会社に依頼し2018年8月当センターの園庭に設置しました。 また、「姿勢保持機能付きブランコ」は、研究開発課と遊具製作業者で設計・試作を重ね、リクライニング可能な姿勢保持機能付き遊具(1号機)を完成させました。その後軽量化を目的とし別のメーカーと研究を行い、介助者一人で取り付け可能な製品(2号機)を完成させました。現在は当療育センター通園のお子さんを中心に日常の療育の中で使用し未定頸のお子さんから、自閉症や知的障害で運動面に障害はないものの持続的な姿勢の保持が苦手なお子さんも、安定した姿勢の中で揺れを楽しむことができ、保護者や療育者も安心・安全に遊びを提供する幅が増えました。 申告すべきCOIはない。