著者
丹野 誠志 羽廣 敦也 林 明宏 金野 陽高 上野 敦盛 葛西 和博
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.3315-3323, 2014 (Released:2014-09-27)
参考文献数
56

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)のコンセンサスガイドラインが2012年に改訂された.2006年初版と2012年改訂版の最大の違いは,分枝型IPMNの診療方針選択に関するアルゴリズムの変更である.初版では嚢胞径を重視したアルゴリズムが推奨された.しかし改訂版では,壁在結節や10mm以上の主膵管径といったhigh-risk stigmataの有無が重視され,さらに悪性の疑いを示す所見をworrisome featuresと定義した上で,それらを認めない場合は嚢胞径に応じた診療方針を選択するとしたアルゴリズムに変更された.一方,浸潤癌のみを悪性と定義したWHO分類にしたがってcarcinoma in situという用語を廃止し,同程度の異型を示す病変をhigh-grade dysplasiaと定めたことも大きな変更である.2012年改訂版は今後,その有用性についてさまざまな検証を受けるとともに,新たなエビデンスにもとづいてさらに改訂されていく必要がある.