著者
上野 真奈 光成 滋生 小林 鉄太郎 村上 啓造
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2021論文集
巻号頁・発行日
pp.223-230, 2021-10-19

本研究はウェブ会議などのオンラインコミュニケーションツールにおけるスケーラビリティと E2EE の両立を目的として,楕円 Lifted ElGamal 暗号を用いた暗号化済み音声データ重ね合わせを実装する.楕円 Lifted ElGamal 暗号を用いることで従来の E2EE オンラインコミュニケーションではできなかった,サービス提供サーバにおける演算処理が可能となり,スケーラビリティの大幅な改善を見込むことができる.一方で,演算コストの大幅な増加が問題となる.そこで,本研究では暗号化済み音声データ重ね合わせを実装し,各演算処理の速度を測定,リアルタイム通信が可能な処理速度であるかを検証する.測定は複数の楕円曲線に対して行い,最適な楕円曲線の検討も行った.この評価実験の結果,256 ビットの楕円曲線を用い,かつ移動端末の上り通信速度で音声通話のみの実施を仮定した場合,最大 1024 人まで同時接続した状態で,暗号化または復号の処理をリアルタイムで実施できることが明らかになった.