著者
藤村 明子 小林 鉄太郎 森田 光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報文化と倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.720, pp.7-12, 2002-03-08

刑事事件の真相を解明していくには、市民から寄せられた情報が大きく役立つ場合がある。ところが現在は、情報提供した市民のプライバシが十分に保たれていないため、情報を提供することに躊躇する市民が増加し、捜査機関は十分な情報等が得られず、犯罪事実の解明が困難になっている。本稿では、市民が自らの匿名性を確保したまま捜査機関に対して情報を提供し、必要な場合を除いては、その個人情報が開示されることがない仕組みを提案する。
著者
上野 真奈 光成 滋生 小林 鉄太郎 村上 啓造
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2021論文集
巻号頁・発行日
pp.223-230, 2021-10-19

本研究はウェブ会議などのオンラインコミュニケーションツールにおけるスケーラビリティと E2EE の両立を目的として,楕円 Lifted ElGamal 暗号を用いた暗号化済み音声データ重ね合わせを実装する.楕円 Lifted ElGamal 暗号を用いることで従来の E2EE オンラインコミュニケーションではできなかった,サービス提供サーバにおける演算処理が可能となり,スケーラビリティの大幅な改善を見込むことができる.一方で,演算コストの大幅な増加が問題となる.そこで,本研究では暗号化済み音声データ重ね合わせを実装し,各演算処理の速度を測定,リアルタイム通信が可能な処理速度であるかを検証する.測定は複数の楕円曲線に対して行い,最適な楕円曲線の検討も行った.この評価実験の結果,256 ビットの楕円曲線を用い,かつ移動端末の上り通信速度で音声通話のみの実施を仮定した場合,最大 1024 人まで同時接続した状態で,暗号化または復号の処理をリアルタイムで実施できることが明らかになった.
著者
五郎丸 秀樹 鷲尾 知暁 小林 鉄太郎
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:21888744)
巻号頁・発行日
vol.2022-GN-116, no.9, pp.1-8, 2022-03-07

近年インターネットの普及により,マスメディアだけでなく個人が SNS で情報を発信しモバイル端末でいつでもどこでも情報を受信することが可能となった.その影響で情報拡散の速度も情報量も範囲も以前のメディアに比べ大きくなり,ちょっとした情報でも簡単に拡散され複雑化していった.そうした中でフェイクニュースを代表とする,内容が不正確な誤情報や偽情報だけでなく,悪意によって暴露された秘匿情報や機微情報など情報の内容は正確だが任意の対象者に有害な影響をもたらす情報による弊害もでてきている.さらに,デマを取り消す訂正情報に対しても,訂正情報を見た人がデマに騙されている人と同様の行動をとる場合がある.例えばマスコミの報道でトイレットペーパー不足は嘘だとわかっていてもトイレットペーパー買占めをおこなってしまうことなどである.本研究では,このように誤情報・偽情報・秘匿情報・機微情報・訂正情報など,結果的に人々を悪い方向に誘導する可能性のある情報を「誘導情報」と新たに定義し,関係者の感情や伝達文の変化を簡易に把握できる新たな時系列図を使用して,発生要因と対策について検討した.