- 著者
-
下村 晃子
芦田 和恵
山下 智佳子
富永 幸江
- 出版者
- 一般社団法人 日本看護管理学会
- 雑誌
- 日本看護管理学会誌 (ISSN:13470140)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.1, pp.76-85, 2022 (Released:2022-09-01)
- 参考文献数
- 20
【目的】脳神経系疾患患者に有効な「転倒転落リスクアセスメントツールと予防対策(以下アセスメントツール)」を作成し,項目を統計学的に検証しアセスメントツールを完成する.【方法】対象:脳神経系疾患専門病院に入院した患者で,入院中にアセスメントツールで評価を行った366名の評価データ1002例.方法:看護師が対象患者の状況を,アセスメントツールを用いて評価した.またアセスメントツールの使用感について看護師15名にアンケートを行った.分析:転倒有無の2群間でアセスメントツールの項目についてオッズ比を算出し,アンケートによる臨床的意義も加味し項目を精選した.【結果】アセスメントツールの統計学的検証とアンケート結果から,オッズ比が低い「睡眠薬・精神安定剤の服用がある」を削除し,単変量解析で有意差のあった転倒リスク要因の「記憶障害」を加え,「転倒経験」「歩行障害」「めまい・立ちくらみ」「ナースコールが押せない」「徘徊・多動」「看護師の直感」「記憶障害」の計7項目でアセスメントツールを完成させた.完成したアセスメントツールの感度・特異度は,感度87.5%,特異度34.3%,AUC 0.768であった.【考察】完成したアセスメントツールは既存のツールと同程度の予測精度を持つと考えられた.また,アセスメントツール作成過程において実際の臨床状況の観点が入ったことで,より臨床で評価しやすいものになったと考える.