著者
足立 卓哉 藤岡 真一 下村 泰之 川上 万里 大澤 俊哉 糸島 達也
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.459-467, 2014-08-20 (Released:2014-09-03)
参考文献数
10
被引用文献数
2

肝硬変患者における高アンモニア血症は日常診療で遭遇する機会は多く,しばしば治療に難渋する.カルニチン補充療法が高アンモニア血症に対し有用であるとの報告が近年増えてきている.2012年2月から2013年1月に当院で高アンモニア血症に対してレボカルニチン製剤を用いた21例について検討した.Child-Pugh scoreが10点以上の症例で,有意に1カ月後の血清アンモニア値が低下していた(p=0.0038).また,血清アンモニア値が低下した群(以下低下群)では,低下しなかった群(以下非低下群)に比べて栄養の指標を表す血清アルブミン値,血清総コレステロール値,血清コリンエステラーゼ値がやや低い傾向にあり,大腰筋の断面積も,低下群でやや小さい傾向にあった.Child-Pugh score10点以上の症例で,栄養摂取不良例や筋力低下例でカルニチン補充療法により血清アンモニア値を下げる効果が期待できる可能性が示唆された.