著者
下澤 伸行
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.128-133, 1998-03-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
16

ペルオキシソームの形成や代謝機構に異常を来す遺伝病のうちZellweger症候群に代表されるペルオキシソーム欠損症とX-linked adrenoleukodystrophy (ALD) について解説する. 前者は哺乳動物細胞や酵母を疾患モデルとしてその病因遺伝子が次々に解明された点で特筆すべき遺伝病であり, 後者はポジショナルクローニングにより遺伝子異常は解明されたもののALD蛋白の機能から脱髄の発症機序, 遺伝子変異と臨床型の不一致から治療に至るまで解決すべき多くの問題を抱えた遺伝病として注目される. 今後, 両者の重症度や発症を規定する新たな因子がモデルマウス等により解明され, より有効な治療法の開発に結びついていくことが期待される.