- 著者
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木下 愛未
下里 誠二
- 出版者
- 大分県立看護科学大学看護研究交流センター
- 雑誌
- 看護科学研究
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.1, pp.13-21, 2019
精神科では、患者の攻撃性がスタッフナースに向けられることがあり、結果スタッフナースが怒りを感じることが知られている。そこで精神科スタッフナース自身の認知傾向(敵意およびパラノイド〈PA〉傾向)、患者から攻撃行動を受けた際のスタッフナースの怒りの強さ、患者の攻撃行動への態度の関連をPearsonの相関係数やstructural equation modeling(SEM)により検証した。スタッフナースに対して質問紙調査を実施し、486名から回答を得た。結果、精神科スタッフナースの怒り感情の喚起に影響を与える個人の特性には、敵意や、PA傾向のうち対人猜疑心および仲間はずれといった認知傾向があることが示唆された。これらの認知傾向は怒り感情の強さに影響を与え、患者の攻撃行動を否定的に捉える看護師のネガティブな態度に影響を与えるものであった。一方で、患者の攻撃行動に対して患者への弱い立場への共感を示す看護師のポジティブな態度は影響が示されなかった。