著者
中作 勇介 松原 崇
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回全国大会(2021)
巻号頁・発行日
pp.2G4GS2f05, 2021 (Released:2021-06-14)

データごとに尤度を求めることができる深層生成モデルは,分布外検知の手法として多く用いられている.一方で深層生成モデルを分布外検知に利用する際,データによっては分布外データの尤度が分布内データの尤度より大きく推定されてしまうことがあるという問題が存在する.変分自己符号化器もこの問題を抱えた深層生成モデルの1つである.この問題を解決するために,本論文では変分自己符号化器において潜在変数の事前分布を変更することを提案する.通常の変分自己符号化器は潜在変数の事前分布を標準正規分布としている.これに対して提案手法では分布外データの潜在変数が原点付近に集まるという仮説を立て,原点付近の確率密度が低い事前分布を用いる.これによって分布外データに対する尤度が低くなり,結果として分布外検知の性能の向上が期待される.Fashion-MNISTとMNISTに対して実験を行い,既存の手法に比べて分布外検知における性能が向上することを示した.