著者
中原 澪佳
出版者
新潟国際情報大学国際学部
雑誌
新潟国際情報大学 国際学部 紀要 = NUIS Journal of International Studies (ISSN:21895864)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-14, 2020-04-01

本論の目的は、パウロ・フレイレ(Paulo Freire)の目指した対話的な実践とはなにかを考察し、そのうえで、フレイレの思想をもとにしたワークショップの実践をおこない、その有効性を示すことである。はじめに、これまでの対話型の授業の課題とそれを乗りこえようとした多田孝志の理論と実践について明らかにする。つぎに、同様に真に対話的な教育を目指してきたパウロ・フレイレの思想から真に対話的な実践とはどのようなものなのかを読み解く。フレイレの思想のなかでも、とくに重要な一節である「世界を命名する1」ということばに着目し、フレイレの対話の概念を改めて明らかにする。最後に、フレイレの対話の考えをもとにした実践例を紹介し、その実践の意義を考察する。それをつうじて、フレイレの思想を現代の日本で実践化することにどのような意義があるのかを提示したい。