著者
中原 経子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.36-38, 1974-02-28 (Released:2010-02-22)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

1) 緑茶中の蓚酸含量をBergermanとElliotのインドール比色法により測定した。その結果可溶性蓚酸を多く含むものは玉露, 粉茶, 芽茶であり, 次に抹茶, 煎茶, くき茶にも多く, 番茶は少なく玉露の1/2, ほうじ茶はさらに少なく玉露の約1/5であった。2) 緑茶浸出液中の蓚酸含量は, 3gの葉に100℃, 180mlの蒸留水を加えて1分間浸出したが, その結果, 粉茶, 抹茶はとくに多く, 100ml中17mg前後, 玉露では8.5mg煎茶は4.7mgであった。これも番茶, ほうじ茶が少なく, 蓚酸の点からは番茶やほうじ茶をのむほうが好ましい。しかし煎茶でも180mlを茶わん1杯として約8.5mgの蓚酸であり, とくに多く摂取しなければ心配するほどの量ではないものと思われる。3) 浸出時間による蓚酸の溶出量では初めの5分に7.7mgでこれは15分の約73%であった。4) 浸出回数による蓚酸の溶出量では, 初めの2回に合わせて全溶出量の76%と多くが溶出された。5) 浸出温度による蓚酸の溶出量では, 80℃において100℃の場合の81%が溶出された。