- 著者
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中尾 泰子
- 出版者
- 日本ロシア文学会
- 雑誌
- ロシア語ロシア文学研究 (ISSN:03873277)
- 巻号頁・発行日
- no.31, pp.121-133, 1999-10
1914年の10月にソフィヤ・パルノークと出会ったマリーナ・ツヴェターエワは, その直後から連作詩「女友だち」を書き始める。しかし, 同性の恋人に捧げられたこのテクストは, 彼女の存命中に世に出ることはなかった。といっても, 女性の同性愛を含め, 当時のロシアにおいて「性」について語ることがタブーだったわけではない。 ではツヴェターエワにとってレズビアニズムを表象するという行為は具体的にどんな意味を持っていたのだろうか。また, ツヴェターエワのレズビアニズムに対する認識は時を経るにしたがってどのように変化していったのだろうか。 本論では, まず今世紀初頭の文学における同性愛のテーマについて概観し, 次いでツヴェターエワの「女友だち」と「アマゾンへの手紙」という二つのテクストを中心にこれらの問題について考察する。