著者
中尾 瑞樹
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.21-32,99-98, 1998

大嘗祭のなかで唱えられる祓の呪儀としての陪膳采女の祝詞作法。その技法をめぐっては「習礼」と呼ばれる宮主や陪膳采女の「秘説」の競合する時空があった。そうした秘説たちは、いわば祓の技法に対する「注釈」の様相を帯びて、宮主においては、やがてある種の「神学」を構築していく。そこからは『日本書紀』神代巻神話が祓についての「秘知」を内在するものとして再構築されていった。それはいわば宮主の身体を媒介とした「注釈実践」であった。