著者
小林 宏光 安河内 朗 綿貫 茂喜 中山 栄純
出版者
石川県立看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

心拍変動解析の手法は数学的には高度化してきているが,これが必ずしも生理学的指標としての心拍変動測定の精度・信頼性の向上につながっていない。我々は以前から心拍変動測定における呼吸コントロールの必要性を主張してきており,現状では専門の研究者の間では一定の理解が得られていると思われるが,市販されている心拍変動解析ソフトウェアではこの点に配慮したものは存在しない。本課題は、心拍変動測定・解析のためのソフトウェアを開発することを目的とするものであるが,周波数解析の手法などは従来からあるシンプルで確立した手法を用い,一方で呼吸の影響やデータの時間的整合性などに関しては十分な配慮した設計を行い,この指標の実際の測定における信頼性の向上につなげることを目標とする。本課題ではそれぞれに特徴を持つ3種類の心拍変動測定・解析システムを開発した。開発されたソフトウェアは,できるだけハードウェア環境に依存しないよう心がけて作成したが,AD変換を要するシステムでは特定の計測ボードに依存する部分が存在する。しかし,逆に心電計に関しては汎用性を持つので,心電計と解析ソフトウェアが一体となったメーカー製のシステムと比べれば,汎用性の面でもメリットがあると思われる。POLAR S-810を用いたシステムは,特定の心拍計に依存したシステムであるが,この機器の価格が非常に安いため,多人数の同時測定には特に適していると思われる。呼吸の影響やデータの時間的整合性に対する配慮はメーカー製の製品で最も欠けている点であるが,これらの点についても一定の配慮をした設計を行った。今回開発したソフトウェアは,まだ改良の余地を残すものではあるが,現段階でも十分な有用性を持つものであると思われる。