著者
中島 朋義 Tomoyoshi NAKAJIMA
出版者
公益財団法人環日本海経済研究所(ERINA)
雑誌
ERINA REPORT (PLUS) = ERINA REPORT (PLUS) (ISSN:24329304)
巻号頁・発行日
no.158, pp.30-34, 2021-02-22

文在寅政権の発足以来、2018年10月の韓国最高裁の元徴用工判決、同12月の海上自衛隊機に対する韓国海軍のレーダー照射事件、2019年6月の慰安婦合意に基づく財団の解散など、一連の出来事によって日韓関係は大きく悪化した。2019年7月の日本の対韓国輸出管理の強化は一般にそれらの一連の動きの中での一つの事象と見られている。しかし、日本の輸出管理強化とそれに対する韓国の反応が日韓の経済関係と世界の自由貿易体制に与えた影響は、これまでに類似の事例を見ないものと言える。日本の貿易政策の今後を展望する上で、日韓関係全般の動向とは独立した形で検討する必要があると考えられる。本稿では輸出管理強化に焦点を絞りその経緯とその及ぼした影響を整理した。