著者
ナラントヤ ダンザン Danzan NARANTUYA
出版者
公益財団法人環日本海経済研究所(ERINA)
雑誌
ERINA REPORT (PLUS) = ERINA REPORT (PLUS) (ISSN:24329304)
巻号頁・発行日
no.152, pp.20-23, 2020-02-20

本研究の目的は、この100年間に生じた文化・政治・経済・社会面における変化によって、モンゴル人男女の役割と失業問題がどのように変化したかを検討することである。本研究を通して、封建主義、社会主義、資本主義という3つの異なる社会体制における仕事のジェンダーモデルが比較される。本研究は、量的アプローチと質的アプローチを組み合わせてこの課題に取り組み、経済学、社会学、歴史学の観点から洞察を与える。
著者
中島 朋義 Tomoyoshi NAKAJIMA
出版者
公益財団法人環日本海経済研究所(ERINA)
雑誌
ERINA REPORT (PLUS) = ERINA REPORT (PLUS) (ISSN:24329304)
巻号頁・発行日
no.158, pp.30-34, 2021-02-22

文在寅政権の発足以来、2018年10月の韓国最高裁の元徴用工判決、同12月の海上自衛隊機に対する韓国海軍のレーダー照射事件、2019年6月の慰安婦合意に基づく財団の解散など、一連の出来事によって日韓関係は大きく悪化した。2019年7月の日本の対韓国輸出管理の強化は一般にそれらの一連の動きの中での一つの事象と見られている。しかし、日本の輸出管理強化とそれに対する韓国の反応が日韓の経済関係と世界の自由貿易体制に与えた影響は、これまでに類似の事例を見ないものと言える。日本の貿易政策の今後を展望する上で、日韓関係全般の動向とは独立した形で検討する必要があると考えられる。本稿では輸出管理強化に焦点を絞りその経緯とその及ぼした影響を整理した。
著者
浦田 秀次郎 Shujiro URATA
出版者
公益財団法人環日本海経済研究所(ERINA)
雑誌
ERINA REPORT (PLUS) = ERINA REPORT (PLUS) (ISSN:24329304)
巻号頁・発行日
no.161, pp.3-8, 2021-08-20

経済成長には貿易の拡大が重要な役割を果たすが、新型コロナ禍や米中貿易紛争などによって保護主義の動きが増大しており、貿易拡大が難しくなっている。世界貿易機関(WTO)は貿易ルールの形成や自由化を通じて、貿易拡大を促す役割を担っているが、加盟国の意見の違いなどから、期待された役割を果たしていない。そのような中で、貿易の拡大に共通の関心を有する国々の間で自由貿易協定(FTA)を締結する動きが活発化している。アジア太平洋地域では、環太平洋パートナーシップ(TPP)と地域包括的経済連携(RCEP)の二つのメガFTA 構想が出現し、協定締結に向けて交渉が行われてきた。日本、豪州、シンガポール、ベトナムなどの国々は両協定交渉に参加したが、米国はTPP のみ、中国はRCEP のみに参加したことで、TPPとRCEPは米中対立といった視点から議論されてきた。FTA は基本的には貿易政策であるが国際関係、国際政治の要素も含んでいる。本稿では、TPPとRCEP に焦点を当て、アジア太平洋における地域経済統合への動きの背後にある日米中の思惑や戦略について議論し、米国がTPP から離脱した状況の中で地域経済統合実現に向けての日本の役割について考察する。
著者
オユンジャルガル マンガルスレン バーサン ドルジダンバ Mangalsuren OYUNJARGAL Dorjdamba BAASAN
出版者
公益財団法人環日本海経済研究所(ERINA)
雑誌
ERINA REPORT (PLUS) = ERINA REPORT (PLUS) (ISSN:24329304)
巻号頁・発行日
no.158, pp.10-17, 2021-02-22

モンゴル政府は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して、2020年1月26日に第30号政府決議を採択し、すべての学校、幼稚園、職業教育訓練機関、図書館、映画館、文化・娯楽施設、スポーツ競技場、インターネットカフェ、ゲームセンター、その他の公共施設を1月27日から3月2日まで閉鎖した。 これを受けて、モンゴル国家統計局は、COVID-19の予防・検疫体制が、企業や家計にどう影響しているかを2020年4月1日から5月20日にかけてオンラインでアンケート調査「COVID-19の予防・検疫措置による企業活動への影響調査」を行った。アンケートには、2402社の企業が参加した。回答した企業のうち、1113社(46.3%)は「正常に稼働している」と回答し、1289社(53.7%)は「正常に活動できていない」と回答した。政府の措置が事業に特に影響した部門であったのが、卸売・小売業ならびに自動車およびオートバイの修理業、宿泊・飲食サービス業であった。さらに、フル稼働で活動できていないと回答した企業のうち、1538社(89.8%)の企業は、それが政府の措置の結果であると回答した。このような回答をした企業の比率は、卸売・小売業ならびに自動車およびオートバイの修理業は22.1%、宿泊・飲食サービス業は11.8%、教育は10.8%であった。また、2234社(93.0%)は、事業継続に問題が生じていると回答した。企業が指摘した問題としては、財務問題(48.2%)、顧客の急減(44.9%)、従業員の賃金・社会保険の支払い(27.8%)、ローンの元利返済(23.8%)、検疫期間の終了までの活動中断(22.0%)、生産およびサービスの急減(19.3%)があげられる。さらに、2036社(84.8%)が政府の措置によって収入が減少したと回答した。減少幅は、「50%以上」が899社、「41~50%」が322社、「31~40%」が276社、「21~30%」が260社、「11~20%」が166社、「10%以下」が123社であった。アンケート調査からは、卸売・小売業ならびに自動車およびオートバイの修理業の企業が最も著しい収入減を被ったことが明らかになった。860社(35.8%)は従業員に有給休暇を付与し、在宅勤務の条件を整えた。ローンの返済を延期した企業は360社(15.0%)であり、2042社は延期しなかった。調査開始時点では、政府の経済・生活支援策や感染防止措置は導入したばかりであったため、予防・検疫措置を実施する企業の数は比較的少なかった。調査では、コロナ対策の導入後、事業が正常な状況に戻るまでに時間が必要であることが明らかになった。631社(26.3%)は3カ月以下、442社(18.4%)は3〜6カ月、341社(14.2%)は6〜12カ月、151社(6.3%)は1年以上の時間が必要であると回答した。 企業は、政策の意思決定に際して企業を支援することに政府がより注意を向けなければならないと考えている。重要な措置としては、税・社会保険料の減免、経費の割引、企業が借入・借り換えを行うための政策があげられる。今回のアンケート調査は、コロナウイルスの予防・検疫措置の導入後3カ月たった時期を対象とした。調査結果は、予防・検疫措置が、卸売・小売業ならびに自動車およびオートバイの修理業、宿泊・飲食サービス業、教育の事業に継続的に悪影響を与えると予想される。To tackle the COVID-19 outbreak, the Mongolian government issued governmental resolution No.30 on 26 January 2020, closing all schools, kindergartens, vocational and technical education training centers, libraries, cinemas, cultural and convention venues, sports centers, internet café, electronic gaming centers, and other public centers from 27 January. The ban remains in effect to this day. In this regard, the National Statistics Office of Mongolia (NSO Mongolia) conducted an open online survey from 1 April to 20 May 2020, to study "the Impact of the Coronavirus Prevention and Quarantine Measures on the Activities of Enterprises and Household Livelihoods". The survey asked 2402 enterprises to what extent these measures had affected their business operations. 1113 companies (46.3%) answered that they could operate routinely, while 1289 companies (53.7%) assessed the impact negatively. Among others, companies involved in the wholesale and retail trade, education, and accommodation and food service sectors labelled the negative impact of the governmental anti-COVID-19 measures on their activities as significant. Furthermore, 1538 companies (89.8%) reported an inability to run at full capacity due to the measures. The ratio of fully operational companies was 22.1% in trade sectors, 11.8% in accommodation and food services, and 10.8% in the education sector. 2234 companies (93.0%) stated experiencing difficulties in sustaining operations. They complained about financing (48.2%), a drastic decrease in the number of customers (44.9%), difficulties in paying wages and social insurance (27.8%), in paying corporate income tax and other fees (24.1%), in making loan and interest repayments (23.8%), suspension of the operation until the end of quarantine (22.0%), and a sharp reduction in production and services (19.3%). 2036 companies faced revenue reduction: by more than 50% (889 companies); 41-50% (322); 31-40% (276): 21-30% (260); 11-20% (166); up to 10% (123). The survey also revealed that wholesale and retail trade, and automotive and motorcycle maintenance enterprises experienced revenue reduction most severely. 860 companies (35.8%) gave their employees paid leave and set conditions for working from home. 360 companies (15.0%) have deferred loans and repayments, while 2042 enterprises did not. When the survey was begun, the number of enterprises implementing the prevention and quarantine measures was relatively small as the government had just introduced the course of action to support economic activities, household livelihoods and to protect against the spread of the coronavirus. The survey confirmed that companies need time to prepare for a return to normal operations after introducing the coronavirus-related measures: up to 3 months for 631 companies (26.3%); up to 3-6 months for 442 (18.4%); up to 6-12 months for 341 (14.2%); more than one year for 151 (6.3%). The companies considered it vital for the government to pay more attention to supporting enterprises in their policy implementation and decision making. Essential measures include discounts on tax and social insurance payments, discounts on operating expenses, and policies that enable enterprises to obtain loans and/or defer loan repayments. This survey covered the three months following the introduction of the coronavirus prevention and quarantine measures. Based on the survey results, these measures are expected to continuously affect business activities negatively in the wholesale and retail trade, accommodation and food services, and education sectors.