- 著者
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中島 正彌
小林 昌義
- 出版者
- 日本静脈学会
- 雑誌
- 静脈学 (ISSN:09157395)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.1, pp.27-31, 2016
- 被引用文献数
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2
症例は71 歳女性.左足関節痛,両下肢違和感にて当院受診した.両大腿内側から下腿に伏在静脈瘤を認めた.下肢静脈超音波にて両側大腿- 大伏在静脈接合部に逆流を認めたため,全身麻酔にて両下肢に血管内レーザー焼灼術(endovenous laser ablation: EVLA),静脈瘤切除,硬化療法を施行した.術後1 日目病棟歩行時突然の呼吸困難,背部痛にてCT 室搬送となり,心停止により緊急挿管された.ポータブルUS にて右心系収縮不全あり,術後DVT,PTE を疑い緊急下大静脈フィルター留置し,ヘパリン,ウロキナーゼ投与するも全身動態に安定みられず同日夜永眠となった.本邦の文献を調べた限り下肢静脈瘤に対するEVLA 後に肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism: PTE)を併発した死亡症例の報告はないため,この誌を借りて報告する.