著者
中島 武彦
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.813-820, 1993
被引用文献数
1

冬季寡日照を想定し, メタルハライド灯を10または12時間日長, 10 (高曇り) ~20klx (薄曇り) とした人工照明下において, レタス幼苗の生育に及ぼす影響を調査した. 処理としては白熱球を補光源とする1~3klxの間欠照射区と連続照射区を加えた, また,間欠と連続の照射処理は明期のみに行った.<BR>主光源10klxに2klxの補光を行った場合, 間欠補光6分区 (24分間消灯後に6分間点灯) は乾物生産が最も高く, 無補光区の約2.4倍, 連続補光区の約1.6倍に達した. また, 主光源20klxに2klxで補光した場合も間欠補光6分区と1分区 (4分間消灯後に1分間点灯) は無補光区や連続補光区より生育が増進した.しかし, 6秒区 (24秒間消灯後に6秒間点灯) は1分区や6分区よりも生育増進効果が小さかった.<BR>補光源が点灯すると葉温は急上昇し, 光合成が活発になった. また, 補光源が消灯すると葉温は急落したが, 光合成速度はその後2,3分間は無補光区や連続補光区より高い値を維持し, その後は急速に無補光時のレベルまで低下した.<BR>無補光区の葉伸長は葉の含水率の低下によって明期後半に減退したが, 間欠補光下では水分補給と光合成促進の繰り返しによって明期後半も旺盛であった.<BR>以上のことから, 寡日照下のレタス苗生産において間欠補光方式 (6分区) は葉面積の拡大とそれに伴なう乾物生産の増大に著効のあることがわかった.<BR>謝辞本稿の御校閲をいただいた当場の木下隆雄生理生態部長 (現•農業研究センター) に感謝の意を表します.