著者
中島 節夫
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.203-211, 1999-03-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
21

わが国の心身医学の歴史を顧みると, その初期には「いわゆる催眠僚法, がかなり用いられ, それなりの効果をあげていたが, 最近, 心身医僚の臨床ではほとんど催眠痕法は用いられなくなった.心身医学の領域で催眠療法が廃れた原因として, alexithymiaの概念がわが国に導入され, 心身症は催眠感受性が低く, 催眠療法は心身症の治療法としては無効であるとされたことと, 心身医学療法に対する診療報酬があまりにも低すぎることがあげられる.その後, 心身症の治僚法として, 催眠を母胎として生まれた自律訓練法, さらにはそれを発展させた自律療法が取り入れられるようになったが, もう一度, 他者催眠を見直してもよい時期にきているのではなかろうか。