- 著者
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中島 美智子
- 出版者
- 一般財団法人 日本消化器病学会
- 雑誌
- 日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
- 巻号頁・発行日
- vol.80, no.10, pp.2216-2223, 1983 (Released:2007-12-26)
- 参考文献数
- 34
- 被引用文献数
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臨床像並びに肝生検で診断された肝疾患患者183例(アルコール性肝疾患41例, ウイルス性肝疾患104例, 薬剤性肝疾患28例, 対照10例) につき, 肝組織内γ-glutamyl transpeptidase (γ-GTP) を測定し同時採取した血清γ-GTP値との関連をみた. 各疾患いずれも肝組織内γ-GTP活性は血清γ-GTPに反映し, 特にアルコール性肝疾患, 薬剤性胆汁うつ滞型肝疾患においては肝組織内並びに血清γ-GTPの上昇が顕著であつた. 各疾患に共通して肝組織内γ-GTPの増加, 減少はそれぞれ肝細胞の水腫様腫大, 好酸性壊死を反映した. 血清γ-GTPの上昇はアルコール, 薬剤に伴う酵素誘導と肝細胞の変性, 壊死に伴うγ-GTPの逸脱が強く関与していることを示唆した.