著者
中島 菊雄 徳谷 聡 塩崎 崇
出版者
北海道整形外科外傷研究会
巻号頁・発行日
2006

外傷により大腿骨内側顆に大きな骨軟骨欠損を生じた症例に対して Outerbridge の方法に準じて自家膝蓋骨外側1/3を移植骨として使用して再建を行った.症例は47歳男性で,自動車運転中の事故で右大腿骨骨幹部骨折,右大腿骨内側顆部の骨軟骨欠損を伴う膝開放損傷,左足 Lisfranc 関節脱臼骨折,左肋骨骨折を受傷した.内側顆の欠損は3×2.5×6 cm であった.同日,右膝創洗浄,大腿骨創外固定,左足整復ピンニング施行.感染がないことを確認し,受傷後21日に右大腿骨髄内釘固定,膝蓋骨,腸骨移植による膝関節形成術を行った.Screw 刺入部痛を強く訴え,術後1年で抜釘を行った.膝可動域は0/120°であり,杖なし歩行可能であるが,疼痛の訴えが残っており,肉体労働へは復職できていない.早期に変形性膝関節症を発症し,TKA が必要となる可能性を残しており,今後も注意深い観察が必要である