著者
増本 直子 西﨑 雄三 中島 馨 杉本 直樹 佐藤 恭子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.73-78, 2021-06-25 (Released:2021-07-02)
参考文献数
22
被引用文献数
3

既存添加物であるカラシ抽出物およびセイヨウワサビ抽出物の品質確認試験として,市販のイソチオシアン酸アリル(AITC)試薬を標品とするGC-FID法が公定法としてあるが,AITC標品に不純物の存在が確認されていた.そこで,AITCとは別の高純度なシングルリファレンス(SR)を標品とし,より正確にAITCを定量するGC-FID法およびLC-RID(示差屈折率検出器)法を検討した.それぞれのクロマトグラフィー条件下におけるAITC/SRの相対モル感度(RMS)を,定量1H-NMR(qNMR)を用いて正確に決定した.このRMSを用いたSR GC-FID法およびSR LC-RID法から算出された製品中のAITC含量は,製品に対して直接qNMR法で算出されたAITC含量と2%以内で一致した.SR法は,従来法よりも正確なAITC含量の算出が可能である.