- 著者
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鈴木則久
小原盛幹
中島淳
- 雑誌
- 情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
- 巻号頁・発行日
- vol.1985, no.3(1985-OS-027), pp.1-7, 1985-05-10
Smalltalk-80がパソコンの上で動き、かつ性能がすばらしければ、どれほど使用価値が上がるであろうかとは前々から考えていた。現在Smalltalkが動くコンピュータで一番手頃なのはTektronix4404であるが、これも満足な速度で動くようにするには700万円程度かけなければならない。しかしパソコンは40万程度で買えるし、ハードディスク付きでも70万位になる。値段が10分の1になると今まで考えていなかったような分野でも使えるようになる。 この目標を達成する為にまずMC68000上で動く移植の容易なSmalltalkの基本システムを作った。[1].しかし現在主流のパソコンは8086を使っている。しかし8086上にSmalltalkの様な大容量のヒープを必要とするシステムを実現するのは大変むずかしい。そこでこのパソコン上にSmalltalkを実現しようという話はなかなか実現しなかった。 一方MC68000上に能率のよいSmalltalkをのせる仕事は着々と進んでいき、1984年暮には「菊32V」という大変高性能なシステムが完成した。また、NEC PC9801用にMC68000ボードが売り出された。これは不完全な形ながらSmalltalkをパソコンの上にのせる目的に一歩近づけた。しかしながら記憶容量はまだ足りなかった。そこで自作で主記憶を作り、「菊32V」を移植して、パソコン上のSmalltalkが初めて完成した。