著者
中川 信子
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.234-238, 2013 (Released:2014-03-20)
参考文献数
3

1 歳—3 歳時期のことばの遅れは,障害に由来する場合も,生理的な個人差による場合もあって,判別は困難である。  ことばや発達の遅れの可能性のある児については①聴力 ②理解 ③対人関係・コミュニケーション ④こだわりの有無 ⑤落ち着きのなさ などに焦点をあてて観察する。  乳幼児期には,訓練的なかかわりによって言語発達を促進することは困難であり,からだ,こころを含めた全体発達の中で考えてゆく必要がある。ことばの遅い子の保護者は焦って教え込みに走りがちだが,毎日の生活体験の中から分かることをふやすようなかかわり,いっしょに楽しく遊ぶ中でのコミュニケーションの改善,特に,感覚統合的な視点からのからだを使った遊びを提案する。  また,乳幼児期から親子でしっかり目を合わせ,共同注意の成立を図るかかわりが大切である。