著者
ホルヘ・フェレール 中川 吉晴 吉嶋 かおり
出版者
日本トランスパーソナル心理学/精神医学会
雑誌
トランスパーソナル心理学/精神医学 (ISSN:13454501)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.73-89, 2012 (Released:2019-08-08)

本論文は、身体化されたスピリチュアリティ(embodied spirituality)の意義について論じたものである。身体化 されたスピリチュアリティは、身体と性をふくむ人間の属性をすべて統合したものにもとづいている。また本論文は、 身体化されたスピリチュアリティを、身体から切り離された(脱身体化された)スピリチュアリティと対比して論じ ている。脱身体化されたスピリチュアリティは、身体からの分離や昇華にもとづいており、人類の宗教史のなかに蔓 延している。さらに本論文は、生きたパートナーとしての身体にアプローチし、それによって自分の霊的生(spiritual life)を共創造(co-create)するとはどのようなことなのか、ということについて述べている。そして、完全に身体 化されたスピリチュアリティの10の特徴を概観する。最後に論文を締めくくるにあたって、身体化されたスピリチュ アリティの過去・現在と未来の可能性について、いくつかの考察を付しておく。