著者
中川 純子
出版者
京都大学学生総合支援センター
雑誌
京都大学学生総合支援センター紀要 = ARCHIVES OF STUDENT SUPPORT IN KYOTO UNIVERSITY GENERAL STUDENT SUPPORT CENTER
巻号頁・発行日
no.49, pp.63-71, 2020-08-31

大学で相談されるハラスメントは多様になっている。本論ではハラスメントの定義の拡大の経緯, 法整備, 最近の報道例を述べて, 多様化の様相を明らかにするとともに, ハラスメント相談が個別に大学への対応を求めることのできる方法であることから, 多様な問題がハラスメント化するという視点を示した。多様化を究極させれば個別化になるが, 個別事情を抱えたハラスメントへの対応は, 当事者が現在までに所属してきたさまざまな社会における受傷の記憶への対応でもあり, 心理の専門家が寄与しうる部分でもあることを述べた。
著者
中川 純子 杉原 保史
出版者
京都大学学生総合支援センター
雑誌
京都大学学生総合支援センター紀要 = ARCHIVES OF STUDENT SUPPORT IN KYOTO UNIVERSITY GENERAL STUDENT SUPPORT CENTER
巻号頁・発行日
no.48, pp.19-32, 2019-08-31

現在, 情報通信技術を活用したさまざまな形態の遠隔の心理支援があらたに登場し, この社会に普及しつつある。本学の学生総合支援センターでは, 2017年度より外部業者への委託事業によるオンラインカウンセリングを導入した。本小論においてはその2年間の運用の概要を報告し, 学生相談におけるオンラインカウンセリングの可能性と今後の課題を考察する。
著者
中川 純子
出版者
龍谷大学短期大学部
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本検査被検者は44名(男5名、女39名:平均年齢19.95歳range18〜23歳)となった。1.孤独感尺度(LSO)の基本統計量が出され、箱庭作品の被検者によるSD評定の分析がなされた。SD評定は因子分析により7因子抽出された(VARIMAX回転)。2.箱庭作品の数量的分析:岡田(1984)と比較すると神経症群よりも取組全時間、玩具総数とも、短く、少ないが、これは「孤独」をテーマにして作成してもらった影響が大きいと考えられる。3.箱庭作品の専門群による評定の分析:専門群7名が被検者と同じ形のSD法で評定した。多次元尺度構成法(ALSCAL:INDSCALモデル)で分析、6次元を抽出。第1次元「ひとりぼっちを意識させられる【tautomer】周囲にとけ込み開放される(重み0.34)」、第2次元「萎縮【tautomer】にぎやかでエネルギッシュ(重き0.19)」、第3次元「方向性のある攻撃性やざわつき【tautomer】観念的、抽象的で拡散している(重み0.19)」、第4次元「ひんやりした暗さ、冷たさ【tautomer】明るさ(重み0.16)」、第5次元「求心性、自己の囲いを持つ【tautomer】拡散して守りが無い(重み0.06)」、第6次元「ふと隣り合わせに感じる危機感【tautomer】どちらかというひとごとのさみしさ(重み0.06)」と考えられた。この6つの次元軸は、孤独というテーマを臨床的に考えるとき、重要な軸になると考える。またLSOと次元負荷値の関連をみるとLSO-Eと次元2、次元3に有意な相関が見られた。それによると、「人間は本来ひとりであると思っている」ことと、孤独の表現を「にぎやかなものにする」「方向性のある攻撃性やざわつきを示す」ことは関連があることが分かる。4.各箱庭のテーマ分析:箱庭の数が多いので詳細は省略。「2」「守り」等興味深いテーマが多い。