著者
宮林 真沙代 中村 千香子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.67-72, 2019 (Released:2019-05-15)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【背景】Do not attempt resuscitation(DNAR)の意思表示のあるがん終末期のCardiopulmonary arrest(CPA)患者の搬送は,現行消防法では全例蘇生を行いながら搬送される.現場で救急活動を行う消防職員(以下,消防職員)の気持ちを調査検討した.【方法】当地域の消防職員103名に,DNAR提示をしているがん終末期CPA患者を搬送したことがあるか,またその活動内容,および消防法がなかった場合の活動内容に対し,無記名式アンケートを行った.【結果】DNARの意思表示をしていても,消防法に従わざるを得ない現実があった.消防法がないと仮定しても,救命処置を行うと約半数が回答したが,その約半数は搬送を拒否したいとした.【考察】消防職員にとって蘇生行為は使命であり,搬送と意味の違いがあった.救急搬送に対する患者および家族の知識不足や事前の話し合いのなさが,DNAR患者搬送の大きな原因と考えられ,患者の意思を尊重するためにもACPの浸透と地域住民への教育が必要である.