著者
殿山 俊吾 中村 恭志 井上 徹教
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_919-I_924, 2020 (Released:2021-11-30)
参考文献数
13

堰状構造物が水路底面上の人体の流下を阻止する過程とその際の条件について数値解析を基に検討した.流動とそれによる人体の姿勢変化を連立した人体−流動連成数値モデルを使用し,全幅堰を持つ平坦直線水路について異なる水深,流速,堰高を想定した複数の解析を実施した.人体が堰を越えて下流へ流下する形態には,水中に上昇し堰を越える浮遊形態と,堰に衝突した後に堰を越える転動形態の2種類があった.浮遊形態は堰高に関わらず凡そ1m/s以上の流速で生じ,流れによる抗力が人体の水中重量を超えると生じた.転動形態は比較的遅い流速0.5m/s以上で生じたが,腕や脚など体の一部が主流域に引き出されることが必要で,堰高が凡そ70cmより高く堰前面の渦に人体の全てが含まれる場合には同形態で堰を越えることは無かった.