著者
中村 本然
出版者
智山勧学会
雑誌
智山学報 (ISSN:02865661)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.96-137, 2018 (Released:2019-03-30)
参考文献数
110

『釈摩訶衍論』は修行論として、止観の法門を重視する論を展開する。修行者にとって魔事は克服すべき課題であり、『釈摩訶衍論』の論主にとっても念頭から離れることはなかった。「広釈魔事対治門」では、魔・外道・鬼・神の四種の仮人について詳細な考証が施されている。中でも修行者を迷わせる外道に多方面からの検討がみられる。『大乗起信論』の注釈書である元暁の『起信論疏』には、諸魔を天魔、鬼を堆愓鬼、神を精媚神とする。法蔵の『大乗起信論義記』は元暁の解釈を引き継ぐ姿勢を窺わせる。報告では、止観の修行に注目した『釈摩訶衍論』の論主の趣旨に迫ることにした。
著者
中村 本然
出版者
智山勧学会
雑誌
智山学報 (ISSN:02865661)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.96-137, 2018

『釈摩訶衍論』は修行論として、止観の法門を重視する論を展開する。修行者にとって魔事は克服すべき課題であり、『釈摩訶衍論』の論主にとっても念頭から離れることはなかった。「広釈魔事対治門」では、魔・外道・鬼・神の四種の仮人について詳細な考証が施されている。中でも修行者を迷わせる外道に多方面からの検討がみられる。『大乗起信論』の注釈書である元暁の『起信論疏』には、諸魔を天魔、鬼を堆愓鬼、神を精媚神とする。法蔵の『大乗起信論義記』は元暁の解釈を引き継ぐ姿勢を窺わせる。報告では、止観の修行に注目した『釈摩訶衍論』の論主の趣旨に迫ることにした。