- 著者
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土屋 雅稔
中村 純哉
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.3, pp.879-894, 2022-03-15
大学を含む公的機関にとって, 各種の異常事態に対する事業継続性の確保は, 重要な課題の1つである. 本論文では, 2つの観点から認証基盤システムの事業継続性について検討する. 第1に, 大規模災害に対する事業継続性について検討する. 大規模災害に対する事業継続性を確保するには, 情報システムを安全な遠隔地に設置するだけでなく, 異常時の挙動について十分に検証する必要がある. 本論文では, 認証基盤システムを遠隔地に設置する場合の設計上の留意点と, 平常時の停電を利用して異常時の挙動を定期的に検証する運用経験について述べる. 第2は, 感染症によるロックダウンに対する事業継続性である. キャンパスがロックダウンされた場合, 従来は対面形式で行われていた各種手続きをオンライン化する必要がある. しかし, 安全な認証という前提を保ちつつ, 各種手続きをオンライン化することは, 決して容易なことではない. 本論文では, 複数の多要素認証手段を組み合わせることにより, できるだけ安全に各種手続きをオンライン化する方法と, COVID-19パンデミックにおける対処経験について述べる.