著者
菅原 菅雄 中村 行三
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集 (ISSN:00290270)
巻号頁・発行日
vol.12, no.42, pp.119-132, 1947-02-25

種々の型式の蒸汽タービンの段落効率の一般的研究は既に屡々発表した通りである.今囘はこの一般的研究に於て取扱はなかつた速度複式衝動タービン(主としてテリータービン及びエレクトラタービンの如き特殊型のもの)に就て論じた.即ち段落効率の理論式を誘導し, これを基礎として効率に及す諸因子の影響を明らかにした.本研究に依て知り得たる主なる事項を擧げると次の如くである.(i) 速度複式衝動タービンの諸型式例へばカーチス, テリー及びエレクトラ型の如きは一見著しい相違があるやうに見えるが, 夫々の場合に對する條件を入れることに依て全く同一の方法によりその効率を論じ得ることが明らかとなつた.(ii) この種のタービンでは一般にカーチスタービンの場合に就て既に知られてゐる樣に, 先づ2速段が最も適當と考へてよいことも分かつた.(iii) 輻流タービンにおける蒸汽の流動は, 半徑方向に内向きの流れをなすものと, 外向きの流れの場合の兩型式がある.低速度比に對しては外向きの流れの方が勝れてゐるが, 高速度比の最大効率を生ずる前後では内向きの流れの型式が優秀なことにも論及した.