著者
中林 幸三郎 青井 忠正
出版者
社団法人 日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会誌「ながれ」 (ISSN:02863154)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.48-55, 1989-03-30 (Released:2011-03-07)
参考文献数
15

本報は解析と数値解で求めた球周りの流れの形および球が受ける流体力の結果をRey-nolds 数(Re数)0.01~120の範囲で比較し,中間Reynolds数での解析結果を調べる.解析と数値解の基礎式にはそれぞれOseen方程式とNavier-Stokes方程式を使用する.低Reynolds数の範囲ではProudman-Pearsonの方法で求めた球周りの流線はOseen解よりも数値解からそれ,かならずしも彼らの結果がよい結果を与えているとは言えない.又Oseen解と数値解で求めた流れの形が一致するRe数の範囲はRe≦1.0であるが,中間Reynolds数での特性値の比較結果はこの範囲のRe数でもOseen方程式を用いた定性的な議論が可能であることを示す.しかし,定量的にはかなりの違いがあり,例えば,解析と数値解による球の渦度発生の臨界Reynolds数はRe=7.7と21になる.最後に,Navier-Stokes方程式の逐次近似をOseen解を用いて数値計算で行なった結果を示す.