著者
中根 貞雄 酒井 健
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1-7, 1974 (Released:2007-03-29)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究において,自律神経薬ほか諸種薬物の潰瘍形成と胃液分泌およびPSB漏出量におよぼす影響を検討し,以下の結果を得た.1)本実験で,phenoxybenzamineを除き,ストレス潰瘍抑制作用を示した薬物は,潰瘍抑制量で胃液分泌減少とpH上昇作用を示した.このことは,ストレス潰瘍抑制には胃液分泌の抑制が重要な要因であることを示唆するものと考えられる.2)atropineは,潰瘍抑制量において,ストレスによるPSB量減少に対し,少くとも増強作用を示さなかった.また,propranolol,DCIおよびchlorpromazineは,ストレスによるPSB量減少に対し,むしろ阻止的であった.これより,ストレスによる胃粘膜血流の阻止ないし抑制が抗潰瘍作用の一因となると考えられる.