著者
中條 祐一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会関東支部ブロック合同講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.71-72, 2003-09-05

エオリアンハープは自然風により音が奏でられる弦楽器である。紀元前800年以来伝えられているホメロスの伝説には、ヘルメスが亀の甲羅に乾燥させた腱をはり、風に当ててリラを発明したいきさつが描かれている。またダビデのハープ伝説では、神が風を送って楽器を鳴らしたとされている。これらエオリアンハープを暗示させる伝説を除外してもその歴史は16世紀まで溯り、17世紀にはヨーロッパ中に広まっている。現在では楽器としての認知度は低く、博物館に保存されているもの以外ではネット販売にて購入できるキットがわずかに存在するのみである。日本には浜松の楽器博物館が所蔵する19世紀イギリス製のエオリアンハープが現存する唯一であるが、これをもとに長野県上田市の古楽器作家石井氏が実際に鳴るものを再現している。本研究ではこれを用いて音響解析を行なった。また、風洞や本体の風きり音によるノイズを取り除くため、ピエゾ式のビックアップを内蔵したエオリアンハープを新たに製作し、風速と周波数、調弦した周波数とエオリアンハープの奏でる周波数、弦の種類、太さと周波数などの関係を調べた。