- 著者
-
中江 次郎
- 出版者
- 奥羽大学
- 雑誌
- 奨励研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 1999
研究目的:通常支配神経が絶たれる大胸筋皮弁や広背筋皮弁に神経移植を行った場合にも、従来行われてきた神経縫合や神経移植術と同様に、筋機能が回復するか否かを組織学的、組織化学的に検索する事を目的に研究を行った。実験方法:実験動物には日本白色ウサギを用い、大胸筋皮弁と広背筋皮弁を形成した後、その皮弁内に残存する神経支配をおよび筋線維の分化や萎縮、筋線維のタイプ変化を検索した。検索方法:大胸筋皮弁、広背筋皮弁部および皮弁周囲組織をそれぞれ摘出し、皮弁の外側部、中央部、血管側部の3つに分け、神経支配がどのようになっているかどうかH-E染色、Gomoriトリクローム染色、ATPase染色およびアセチルコリンエステラーゼ(AChE)染色を行い検鏡し、大胸筋皮弁、広背筋皮弁の筋線維タイプ構成比率について検索した。また、移植部周囲の筋組織についても同様に検索した。結果:実験において、大胸筋皮弁、広背筋皮弁ともに、中央部、血管側部については筋肉の萎縮や異常な所見はなく、外側部には筋線維の萎縮が確認できた。また、移植部周囲の筋組織については、筋線維の萎縮が確認できた。今後の展望:大胸筋皮弁・広背筋皮弁を形成した後、皮弁内に残存している神経支配、筋線維等を観察を行った。今後、これらの検索を継続するとともに、アセチルコリン活性や免疫組織学的(NGP、PGP、Brdu)な検索と電気性理学的(筋電図)な検索を加え、筋線維の分化や萎縮、筋線維のタイプ変化を観察していく予定である。