著者
才木 義夫 中沢 誠
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.287-293, 1990-07-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
11
被引用文献数
1

地球温暖化の要因物質であるCO2について, ガソリン自動車の走行時における排: 出係数を求め, TRIASの理論値と比較した。また, 排出係数とガソリン販売量の統計データから我が国におけるガソリン自動車からのCO2排出総量を計算し, その経年推移を調べた。ガソリン自動車からのガソリン1l当たりのCO2排出量 (排出係数) はTRIASの理論値では2.38kg/lであるが, 市街地の実走行モードおよび定速モードにおける排ガス分析結果から求めた排出係数は2.32kg/lおよび2.35kg/lとなり, 理論値より実走行モードで約25%低い値となった。この原因はガソリン中の炭素がCO2に変化する以外にその一部がCO, HCおよび粒子状物質に消費されているためと考えられる。ガソリン自動車の走行時のCO2排出量 (9/km) は車速が約50km/hで最低となり, それより低速側および高速側で増大する傾向を示した。ガソリン販売章と実走行時の排出係数から求めた我が国のCO2排出総量は1987年度で89, 293×103トンであり, 毎年ほぼ増加している。前年度比で見た場合, 1971年度から1978年度が約3~9%, 1979年度から1987年度が約2%の増加であった。