著者
中田 康信 高村 孝夫 宮田 昌伸
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.1585-1591, 1986-10-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
29

特異的に勃起させる陰茎海綿体神経を電気刺激する実験をイヌを用いて行ない, 勃起時の血流動態について検討した. 今回の実験では, 1) 内陰部動脈血流, 2) 海綿体組織血流, 3) 海綿体内圧, 4) 全身血圧を測定した. 電気刺激後16.95±6.39sec (mean±SD) して海綿体内圧が急激に上昇し始め, その後ゆるやかに上昇し最高圧に達する. 拡張期血圧を100とすると海綿体内圧の最高値は90.8%であった. 内陰部動脈血流は, 刺激と同時に増量がみられ, 海綿体内圧が上昇するころには下降し始める. 完全勃起時には勃起前に比べわずかに増加している程度であった. また海綿体組織血流は完全勃起時は非勃起時に比べ低い値であった. 一定の海綿体内圧を設定した条件下では電気刺激直後, 内圧の下降が認められた. 以上より電気刺激による勃起時には流入血液量の増加と海綿体洞の拡張が重要な働きをしていることがわかった.