著者
竜 美幸 飯塚 卓夫 中神 隆弘 杉山 祐公 片柳 智之 藤井 毅郎 徳弘 圭一 野池 博文
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.81-86, 2011 (Released:2012-09-20)
参考文献数
14

症例は, 生来健康な30歳, 女性. 背部痛, 呼吸困難, 発熱を主訴に来院. 血圧83/53mmHg, 脈拍115/分, 体温37.7°C. 採血では白血球25,530/µL, CRP 33.0mg/dLと著明な炎症反応の上昇を認めた. 心電図上, I, II, III, aVF, V2~6誘導での広範なST上昇, 胸部X線では心胸郭比は62%, 胸部CTで多量の心液の貯留を認めた. 心臓超音波検査では全周性に, やや輝度の高い心液の貯留がみられ, 細菌性心膜炎による心タンポナーデと判断し, 心膜開窓術を施行した. 白黄色膿状の心液を約1,000mL吸引し, 心タンポナーデは解除され血圧の上昇を認めた. 血液培養および心液培養からは, インフルエンザ桿菌が検出された. 術後, 心ドレナージおよび抗生物質の使用により軽快. 第25病日, 退院となった. 今回, 若年女性に発症し, 早期の外科的処置により良好な経過をたどった急性細菌性心膜炎の1例を経験したので報告する.