著者
中里 靖 藤田 矢郎
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.230-239, 1986-03-25 (Released:2010-09-07)
参考文献数
12

1.新たににテングヨウジが房総の河川にに分布することを明らかににした。2.23.0℃の水温ににおいて淡水から海水への適応にには途中1/2海水にによる2~3日の馴致期間が必要である。3.酒匂川ににおいて1984年9月22日, 育児嚢内にに卵を付着させた雄を採集し, 自然産卵が行われていることを明らかににした。4.水温23.0℃の飼育水槽中ににおいて約1週間ごとにに産卵が行われ, 1984年10月25日から2月11日までにに同一組合せの雌雄にによって12回産卵が行われ, 産卵行動を観察した。1回の産卵数は18~287粒であった。5.上記の卵ににより卵内発生及びふ化仔魚の形態を観察した。本種の受精卵は無色透明の楕円形卵で長径1.16±0.07mm, 短径0.91±0.07mm, 多数の小油球がある。水温23.0℃で受精後156~171時間でふ化する。ふ化直後の仔魚の全長は4.68~5.20mmであった。6.ふ化仔魚の飼育ににおいて, シオミズツボワムシの摂餌は認められなかったが, ムラサキイガイの幼生の摂餌は確認できた。しかし飼育開始数日後ににはすべてへい死した。