著者
高橋 信明 丹羽 倫平 中野 了輔 冨塚 一磨
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.147, no.4, pp.235-240, 2016 (Released:2016-04-09)
参考文献数
33
被引用文献数
1

抗体は,現在では医薬品創出に欠かせないフォーマットとして確立し,幅広く認知されている.だが,一口に抗体医薬といっても,複数の要素技術が採用されており,複合的な技術の蓄積が今日の繁栄を支えている.開発初期には,マウスで取得した抗体の抗原性が問題となっていた.この課題を,マウスなどの異種の動物由来の抗体を部分的にヒト抗体配列に置き換える,キメラ抗体技術や,ヒト化抗体技術,さらには,ファージディスプレイ法やヒト抗体産生遺伝子改変マウスなどによりヒト抗体を取得する方法を開発することにより克服してきた.一方,ADCC活性などの抗体本来の機能をさらに高めるポテリジェント(Potelligent®)技術や,新規機能を付加したバイスペシフィック抗体技術などを搭載した抗体薬品の臨床試験が進んでおり,徐々に上市され始めている.本レビューでは,現在までの抗体技術開発の経緯と将来の技術開発の展望を解説する.