著者
中野 幸司
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.180-183, 2019-04-20 (Released:2020-04-01)
参考文献数
6

クロスカップリング反応は,炭素-炭素結合を形成する反応として今日の有機合成において不可欠な手法であり,2010年ノーベル化学賞の受賞対象となった。その開発には,多くの日本人研究者が携わり,日本のお家芸ともいうべき研究分野である。現代の生活を支える様々な有機化合物がこの反応によって合成されており,発見から50年弱が経過した今もなお,その重要性はますます高まり,学術的および産業的視点から活発に研究が進められている。本講座では,歴史的な背景も踏まえながら,クロスカップリング反応の基礎と最近の展開について概説する。