著者
丸山 信之 里見 龍太 岩崎 俊司 中山 宏
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.958-962, 1994-11-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
12

長期(8年間)にわたって周期性同期性放電(PSD)を呈したAlzheimer病の神経病理学的所見について報告した. 大脳のび慢性萎縮が高度で脳室の拡大も著しい. 大脳皮質の神経細胞脱落が高度で神経原線維変化や老人斑が多発し, 神経原線維変化は大脳皮質ばかりでなく, Meynert核, 視床, 被殻, Luys体, 海馬, 中脳網様体, 黒質, 橋網様体, 青斑核, 中心上核, 背側縫線核, 延髄網様体など中枢神経系の各所にみられた. Alzheimer病の病的過程の進行とともにPSDの発生機序が大脳皮質のみならず視床・脳幹網様体を含めた広汎な障害によるものと考えた
著者
丸山 信之 有馬 邦正
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.992-995, 1987-11-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
4

症例は86才女性で, 77才ころより「陰部の盛痒感や, 皮膚がムズムズすることで虫が体内に入つたことがわかる」と執拗に訴え, 不眠, 被害的になつたため, 昭和51年(79才)当所に入院. 入院後死亡するまでの7年間, 寄生虫妄想は断続的に出現し, その他にも被害, 被毒妄想, 年金や生命線に関する妄想が相次いで出現した.一方痴呆症状は入院当時捉えられなかつたが, 入院後1年目ころから痴呆化が目立つてきた. 本症例における妄想を中心とした長期にわたる症状の経過と転機については, 脳障害それ自体のほかに性格, 生活史, 発病状況などを総合しての心的力動のほかに, 家族歴にみられる負因や神経病理学的所見にみられるAlzheimer原線維変化, 老人斑の出現及び神経細胞脱落などの形態学的変化が, 軽度であることなどが関与していると考えられた.