著者
丸山 哲弘
出版者
医学書院
雑誌
総合診療 (ISSN:21888051)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.232-238, 2016-03-15

21世紀は「脳の世紀」といわれて久しく,現在多数の科学者により脳機能の解明に全力が注がれている.脳機能の解明とともに神経疾患の病態などの研究が進歩しており,最近の神経疾患の治療は目覚ましいものがある.“不治の病”といわれたParkinson病やAlzheimer病などの神経変性疾患においても病態解明が進み,症状緩和である対症療法から疾患そのものをターゲットにした根治治療に,大きな期待がかかっている.さらに将来的には,遺伝子操作のできる創薬が開発され,疾患撲滅につながることが期待される. しかしながら,現実に目を向ければ,現在悩んでいる患者をどのように治療してあげればよいのか目の当たりにし奮闘されているのは,現場の医療を支えているプライマリ・ケア医である.神経疾患を診療するなかで,現在使用可能な現代医療をもってしても治療困難を極める愁訴や症状がまだまだたくさんある.しかしたとえ神経難病であっても,プライマリ・ケア医は患者と向き合って,少しでもQOLを高めるために治療しなければならない.