著者
丸山 起誉幸 山崎 泰男 内田 健二
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.600-603, 2004-05-01
被引用文献数
1

症例は65歳の女性,既往歴 : 1994年3月,十二指腸癌に対し幽門輪温存膵頭十二指腸切除を受けている(T4, tubl, med, INFα, ly0, v0, n0, H0, P0, M0, stage IIIA).現病歴 : 健康診断で便潜血陽性,大腸内視鏡検査を施行し,横行結腸に1.5cm大の頂部に潰瘍を有する粘膜下腫瘍を認めた.生検結果から高分化型腺癌と診断した.2001年11月29日,横行結腸部分切除を施行した.病理組織学的所見として,大小不整形の異型腺管が漿膜から粘膜下層にかけて多数みられ, wel, ss, v_o, ly_1, n_3, (+)(No.223), stage IIIbであった.十二指腸癌の組織像と比較検討した結果,十二指腸癌の大腸癌転移として矛盾しない組織像であった.転移性大腸癌の頻度は0.1%から1%とされている.転移性大腸癌は術後7年以上で発症する場合もあり,定期的な消化管検査が必要である.その予後は不良であるが,治癒切除可能であれば原発性大腸癌に準じた手術を行うべきである.