- 著者
-
丸山,悦子
- 出版者
- 日本家政学会
- 雑誌
- 日本家政学会誌
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.2, 1992-02-15
炊飯における米の浸漬については,松元らにより米粒切片の膨潤状態から30〜120分間が適当であるとされ,また関らは,20℃で浸漬した場合,30分間以上15時間まで飯のα化度には浸漬時間による差はみられず,食味上はいずれも同様に好まれたと報告している.米の浸漬温度や浸漬時間は、炊飯過程における昇温時間と相互に関連しており,昇温時間を長くすることによって浸漬時間の不足をカバーすることができるとされている.浸漬における吸水量が多くなると昇温時間は短くてよいと考えられ、浸漬による吸水量を増加させることによって浸漬時間や昇温時間を短縮することが可能と思われるが、浸漬時間や浸漬温度と昇温時間との関連性については、ほとんど検討されていないのが現状である.すでに市販の自動炊飯器においては、米の浸漬中の吸水を40℃で行い,炊飯を迅速に行うために種々の工夫がされているものがあり,日常炊飯においても,米の吸水を急速に進行させるために温水を用いる場合もある.今回は,米の浸漬温度や浸漬時間,昇温時間との関連を明らかにすることを目的として実験を行い,若干の知見を得たので報告する.