著者
丹羽 民和 丹羽 和子
出版者
岐阜医療科学大学
雑誌
岐阜医療科学大学紀要 (ISSN:18819168)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.9-20, 2007

教育のIT活用が叫ばれ,サイバーキャンパスの必要性が教育面,学術研究面,大学運営面,学生サービス面で求められている。近年,教育面におけるIT化の功罪にはさまざまなFD報告があり,統一した見解は未だ得られていない。我々は同一学生群に対して,従来法の「コンベンショナル型」,完全デジタル化した「パワーポイント型」,従来法とパワーポイントを共に使用した「ハイブリッド型」の授業を実施し,IT化授業の影響を検討した。学習者評価では「コンベンショナル型」の学生満足度がもっとも高く,次いで「ハイブリッド型」であった。学習習熟度に有意差は認められなかったが,「パワーポイント型」は二極化傾向がみられた。外部評価としての国家試験血液領域得点とは「パワーポイント型」の相関がもっとも高かった。今回,血液形態学教育で実施した完全デジタルビジュアル化による「百聞は一見に如かず」教育は受講生にとって理解や復習がしにくく,満足度も低かった。しかし,学習成績は国家試験ともっとも相関した。この理由は,パワーポイント授業がより強く成績上位層と下位層を固定化し,クラス内により大きな二極化を生じさせたためであった。