著者
西村 杏香 鳴川 紗 大野 維吹 久世 伊純 小林 耕太 Momoka Nishimura Suzuka Narukawa Ibuki Ono Izumi Kuze Kohta I Kobayasi
出版者
同志社大学ハリス理化学研究所
雑誌
同志社大学ハリス理化学研究報告 = The Harris science review of Doshisha University (ISSN:21895937)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.239-243, 2020-01

ハンドスピナーは人気なおもちゃであり、世界中の人々がスピナーを回転させることが習慣になっている。この研究の目的は、他の依存症(アルコール,ギャンブルなど)に関連する脳活動とハンドスピナー使用中の脳活動を比較することで、人々がハンドスピナーにハマる理由を見つけることであった。そこで非磁性のハンドスピナーを作成し、核磁気共鳴画像によりスピナーを回している際の脳活動(脳血流)の変化を評価した。実験データにより、ハンドスピナーの快適度が増えるにしたがって島皮質の活動が増加することが分かった。さらに、いくつかの報酬関連領域(側坐核および尾状核)は、スピナーを「回転」させた時に活動を示した。これらの脳活動はハンドスピナー中毒の一因となる可能性があり、この結果は習慣性や中毒性のある行動に関連する神経メカニズムを解明する手がかりを与え得るだろう。