著者
久保 姉理華
出版者
熊本高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

○研究目的バンペイユ(Citrus grandis)はザボンの一種で、マレー半島を原産とするカンキツであり、八代市特産品である。これまで果皮の有効利用を目指して精油の抽出を行ってきたが、今回、学生実験への応用を目指し、果皮の精油抽出の最適条件を探索した。加えて、実験室にある器具での実施や校内の植物を用いた精油抽出についても検討した。○研究方法今回用いた試料は校内で栽培されているものと一般で売られているものを使用し、水蒸気蒸留装置の圧力鍋に対して、体積比や蒸留時間を変えて精油を抽出した。GC-MSも用いて成分の簡易同定を行なった。校内の植物として、蓬からの精油の抽出を試みた。また、一般の化学実験室にある枝付フラスコとリービッヒ冷却管等の器具で精油を抽出してみた。○研究成果校内で採取したバンペイユは市販のものより小さく、そのことが精油の収率に顕著に現れ、平均して約5倍も後者が高かった。これはバンペイユの大きさと成熟度が精油を蓄える器官である油胞の生育と相関性があると考えられる。バンペイユの水蒸気蒸留時の鍋に対する体積比は2/3の時、最適蒸留時間は1時間半の時が最も収率が高かった。GC-MSで成分の簡易同定を行った結果、モノテルペン炭化水素類のリモネンとβ-ミルセンで約97%以上占め、その他モノテルペン炭化水素類4成分とセスキテルペン類2成分の有用成分を同定した。実験室にある実験器具で水蒸気蒸留をした結果、微量の精油を確認できた。また、校内の植物として蓬の若葉を水蒸気蒸留してみたところ、爽やかな香りの芳香水が取れたが、精油は取れなかった。