著者
廣瀬 博文
出版者
徳島工業短期大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015 (Released:2015-04-16)

本研究ではバイオ燃料として竹を砕いて粉末状にした竹粉をレシプロエンジンに投入する実験を行った. 竹は数年で育ち, 放置竹林がますます増大して環境問題となっている. この解決策として竹をレシプロエンジンの燃料として活用できないか研究を行った. レシプロエンジンの燃料として竹を活用できれば需要が増大し放置竹林が解消するだけでなくエネルギー問題の改善へ貢献できるのではないかと考えている. しかし, 竹粉だけをレシプロエンジンに吸入させて燃焼させるにはいくつか問題点があるため、従来の燃料と混合した竹粉混合燃料としてエンジンを動かし, 化石燃料の消費量を押さえつつ発電を行える発電機を研究することにした. 発電機のエンジンの種類として軽油を燃料とするディーゼルエンジンを使用することにした. 実験方法は無負荷の状態と発電機の限界負荷を掛けた状態の二つの条件で竹粉の量を変化させて投入し軽油の消費量と黒煙の濃度を測定した. 実験結果は無負荷の状態で特定の条件で軽油の消費量を抑える竹粉投入量を確認することができた. さらに竹粉の投入限界量を確認することができた. しかし, 発電機の限界負荷を掛けた状態では, 無負荷でもっとも効率がよいと思われる竹粉量でも軽油の消費量を抑えることができなかった. 今回の実験では市販のディーゼル発電機を利用して実験を行ったがこの市販のディーゼル発電機は軽油を使用したディーゼルエンジンが最も効率が良い回転数に設定されているが, この回転数では竹粉を燃料とするには高すぎるのではないかと思われる. 回転数が高いために竹粉が燃えるのに必要な時間が足りず多くの煤が発生しエンジンを停止に追い込む悪循環となっている. 今後の研究としては発電機を改良して竹粉を燃料として活用できる最良の条件を模索していきたい.
著者
瀬川 拓郎
出版者
旭川市博物館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012 (Released:2013-05-31)

奥州藤原氏の勢力を支えたものに馬・ワシ羽・海獣皮等があるが、なかでも同地方で産出する砂金が最重要であったことはいうまでもない。この砂金はおもに北上山地に産するものとみられているが、はたして同地方の砂金だけで莫大な流通をまかなうことができたのか、疑問の声も少なからずある。このなかで、1962~68年に行われた中尊寺金色堂の解体工事の際、金箔調査に立ち会った探鉱技術者・砂金研究者の秋葉安一氏は、北上山地の金を用いたとみられる金箔に混じって、北海道日高産の可能性が高い金箔が使用されていることを肉眼で確認した。しかしこの指摘にもかかわらず、これを自然科学的な手法で確認しようとする調査はその後行われてこなかった。一方、10~13世紀の北海道では、厚真町や平取町など胆振日高山中の狭隘な谷筋に古代アイヌの集落が密集し、また高価な本州産金銅製鏡が多く出土するなどきわめて特異な状況を見せており、なぜ古代の胆振日高山中にこのような状況が現出したのか、議論が交わされてきている。秋葉氏の指摘を踏まえれば、胆振日高は有数の砂金産地であることから、その砂金が古代から東北北部に移出されていた可能性は十分に考えられる状況にある。藤原氏の勢力を支えた金が、北海道産を含むものであったとすれば、当時の北方世界の交流をめぐるイメージは大きな転換を迫られ、古代中世の北海道・東北史にはかりしれない影響をおよぼすことになろう。本研究では上記の課題に迫るため3つの作業を行った。1中尊寺金色堂関係の金箔及び北上山系出土砂金の化学分析用資料の提供について平泉町役場の文化財担当者と打ち合わせを行い、平成25年度に協力を得られることになった。またこれら資料の調査を行った。2北上山系砂金との比較用に北海道出土砂金を約20サンプル入手し、函館高専において蛍光X線分析器による成分分析を実施した。そのデータについては上記の平泉関係金資料の成分分析後に公表する。3厚真町内の河川において北海道砂金史研究会会長らの協力を得て砂金の採取を実施し、これまで砂金が確認されていなかった同地域で初めて砂金を確認した。これにより、厚真町の山間部に密集する古代集落が砂金採取と関わるものであった可能性について見通しをもつことができた。
著者
浪花 彰彦
出版者
北海道大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

報告者は、無積雪地帯におけるニホンジカの誘引方法について研究するため、市販されている融雪剤三種(塩化ナトリウム・塩化カルシウム・塩化マグネシウム)を誘引剤として用いて、カメラトラップ法によって撮影した写真から、誘引効果が認められるかどうか検証する実験を行った。実験は、和歌山県東牟婁郡古座川町にある、北海道大学和歌山研究林の林内で行った。誘引地点を林内3箇所に設定し、それぞれの地点において、給塩ポイントとして、三種類の融雪剤を2.5kgずつ入れた桶を25m間隔で設置した。またそれぞれの誘引地点に隣接するように、給塩なしの対照ポイントを設定した。それぞれの給塩ポイントおよび対照ポイントには、自動撮影可能な赤外線センサー付デジタルカメラ(Stealth Cam Rogue IR Digital Video Game Scouting Camera)を設置し、撮影範囲に出現する野生動物の撮影を行った。2009年12月から2010年1月にかけて1ヶ月にわたって実施した給塩実験の期間中、センサーカメラを常時作動し、連続撮影を行った。1ヶ月の給塩実験期間中に撮影されたニホンジカの頭数は、延べ185頭であった。対照ポイントでの撮影頭数27頭に対して、三種類の融雪剤を給塩したポイントでの撮影頭数は、塩化ナトリウム(Na),が92頭、 塩化カルシウム(Ca)が21頭、塩化マグネシウム(Mg)が45頭であった。対照ポイントにおける撮影頭数との比を取ると、Na=3.4、Ca=0.8、Mg=1.7となった。さらにNa給塩ポイントで撮影された写真からは、シカが桶から塩を舐め取っていると思われる様子が頻繁に観察された。以上の実験結果から、塩化ナトリウムが、ニホンジカに対して高い誘引性を示すことが明らかになった。市販されている融雪剤三種のうち、最も単価が安いものは塩化ナトリウムであるため、費用対効果の観点からも、塩化ナトリウムがシカの誘引剤としては優れた効果を持つことがわかった。
著者
遠藤 金吾
出版者
秋田県立秋田南高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

【研究目的】近年、博士号を取得しても定職に就けない余剰博士が問題化していおり、博士号取得者をアカデミア以外の業界で活用しようという動きが盛んになっている。また、秋田県では、昨今問題視されている理科離れに鑑み、子どもたちの理数分野への興味・関心を高め、将来の科学技術・医療を担う人材を育成する事を目的として、全国に先駆けて理系の博士号取得者を対象とした教員採用試験の特別選考を行い、新たな博士のキャリアパスの開拓へとつながる試金石として注目を浴びた。申請者はこの選考による採用者であり、自らの教育実践を通し、博士号取得者に対して、初等中等教育の教員としてのロールモデルの提示を行っていくと同時に、学術界・教育界に対して、理系博士号取得者の初等中等教育の教員としての有用性を訴えていく。【方法・結果】専門性を生かした授業・実習プログラムを開発し、秋田県内の小中高校において実践した。その実践報告を、日本理科教育学会、日本生物教育学会にて行った。文部科学省中央教育審議会大学院部会において、本研究の取り組みについて答弁を行った。(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/004/gijiroku/attach/1288749.htm)【結果】日本理科教育学会、日本生物教育学会での実践報告、中央教育審議会での答弁の他、名古屋大学ノン・リサーチキャリアパス支援事業のパンフレット、文部科学省科学技術白書にて紹介されたことにより、博士号取得者に対してのロールモデルの提示を行い、学術界・教育界に対する、理系博士号取得者の教員採用の意義を訴えることができた。内閣府行政刷新会議においても博士号取得者を教育界で活用する方針が打ち出され、岩手県など、博士号取得者の教員採用が広がりつつあり、今後、本研究の成果が各方面で活用されていくことが期待できる。
著者
石橋 宏之
出版者
東海大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

近年、子どもたちの理科離れが深刻な問題となってきている。本来、好奇心旺盛な幼児期に「遊び」を通して様々な体験や経験から学んでいた原理や仕組みが、おもちゃの複雑化・IT化によって、体験から学ぶ事が非常に難しい環境になってきている。更に、小学校以上の義務教育機関では、カリキュラムや単位数に縛られ、子どもたちに体験的学習をさせる事が難しい。そこで本研究では、「遊び」を通して子どもたちに科学的要素を体験できる教育プログラムを実施し、当該プログラムの有用性の調査として、過去に本プログラムを実施した卒園生(保護者含む)と実施しなかった卒園生(保護者含む)を対象にアンケート調査を併せて行ない、より教育効果の高いプログラムの開発を目指す。1. 本田記念幼稚園卒業生へのアンケート調査(対象:1年生~6年生、対象:401名 有効回答193名)を実施設問22.『生活科・理科・算数はすきですか(卒業生回答)』の問では、本プログラム参加者58名中、95%の方が『すごく好き』・『好き』を選択した。不参加者131名中、86%の方が『すごく好き』・『好き』を選択した。したがって、本プログラムを選択した子どもたちは、小学校に進学後も、継続して理系科目に興味を持ち続けていることが読み取れる。さらに、設問36.『当時お子様と一緒に、何かを作ったり直したりした事はありましたか(保護者回答)』の問では、参加者の90%の方が、『よくあった』『時々あった』を選択、不参加者の86%を上回っている。つまり、理系科目に興味を持つには、保護者との関わりも重要であることが読み取れる。2. 全国幼児教育研究大会で報告。2008年8月5日 テーマ:『考えよう思考力の芽生え』研究大会での講評では下記の4つの点を称賛いただいた。a. 材料を自由に選択して制作できる。(材料の紹介はするが、使い方は教えない。自分で考えアイデアを形にしていく)b. 子どものつぶやきを捉える。(子どものアイデアから、新しい素材や材料を準備する。指導者の固定観念にとらわれず、子どものアイデアを尊重する。子どもたちが自己有能感を持てるようにする)c. 子どもが体験から学ぶ時間を作る。(答えを先に教えない。指導者は待つ姿勢を忘れない)d. 本物に出会う(東海大学動力機械工学科の見学(実車のカットモデル、レーシングカー、ソーラーカーなど)京商株式会社来園(電動ラジコンカー、エンジンカーの披露と説明)3. 以上の事を踏まえ、2008年度レッツサイエンスのプログラムでは、期間中の保護者向けの説明会を実施。内容:1.理論 全国幼児教育研究大会での発表内容。2.実践 子どもたちと同じ環境で材料を自由に選択いただき、自由に作る。4. 2008年度レッツサイエンス参加者へのアンケート調査参加園児32名説明会参加保護者18名設問3.『レッツサイエンスグループの活動は楽しかったですか』の設問に『とても楽しかった』88%、『楽しかった』12%と非常に好評であった。説明会の効果は、設問9.『レッツサイエンス説明会はいかがでしたか』の設問に、参加者18名全員の方が『とても良かった・良かった』と評価していただいた。さらに感想の中で、「いままでは、完成した物をほめていたが、この説明会の後では子どもの工夫やプロセスを見るようになった。子どものアイデアを褒めることができるようになった」など、指導者がわの意図が伝わっていた。設問13.『ものづくりを好きになりましたか(車に限らず)(園児回答者)』の問に保護者が説明会に参加した園児は、『とても好きになった』89%、『好きになった』11%と、保護者が不参加の園児は『とても好きになった』57%、『好きになった』43%という回答になった。このように、幼児時期に科学的遊びを体験すことは、世界的に問題視されている理系(技術者)不足への効果的な手段である。その科学的遊びには、幼児が主体的に『作る⇒遊ぶ(試行)⇒考える(学び、工夫)』のサイクルができる内容であり、自己有能感を持てるように関わることが大切である。さらに、保護者に対しても、内容や重要なポイントを十分に説明し、作ることの楽しさを体験していただくことも大切である。指導者と保護者が相互理解をはかり、子どもたちと向き合うことが重要である。
著者
荒川 等
出版者
九州工業大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-04-06)

少子高齢化という深刻な問題を抱える日本の近い将来、高齢者は介護者不足のため電動車椅子や電動カートを用いた単独移動を強いられ、それらに関連する交通事故が多発することが懸念される。従って、このような事態に備えるべく、報告者がこれまで開発した歩行者用事故記録機(ウォークレコーダー)を電動車椅子に転用することで交通事故分析のための電動車椅子用ドライブレコーダーを発案して評価用試作機を製作した。電動車椅子にはヤマハ発動機(株)・JWアクティブを採用して、ドライブレコーダーを設置するために弱冠の改造を施した。基本的にウォークレコーダーの機能は全て継承しているので、(1)全方位カメラ、(2)車載用カメラ、(3)Webカメラの3方式のいずれかによる周囲の景観の撮影と種々センサによる運動状況の記録をするためのドライブレコーダーとして試用し、メッセンジャーを利用して遠隔地の保護者へ車椅子の状況を実況中継することも可能である。取り分け、(3)のシステムにUSBデバイスサーバーとSSDを用いる改良を加えたところ、画像記録速度が約0-8FPSから64FPS、全方位画像の更新時間が5秒から0.06秒へと100倍程度の飛躍的な向上が見られた。従って、カメラの特徴や価格を考慮すると(3)の方式が実用化に向けて優位となった。また、製造元より技術情報を入手して電動車椅子の操作レバーの操作量を強制的に補正したり、操作量の推移をパソコンに記録する機能を新たに開発した。現在、電動車椅子・電動カートのためのドライブレコーダーの試作機は完成したといえ、電動車椅子の習練を兼ねて安全確認のための試験運転を行っている。今後は、(3)の方式を中心に路上での実証実験を行いながら、車椅子の周囲の景観の画像や運動情報から危険状況を認識するアルゴリズムの開発を行い、車椅子の自動停止や緊急機関に通報するシステムへ発展させる予定である。
著者
若林 教裕
出版者
香川大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

生徒の興味関心と科学的な思考力を高めるための教材開発として音の引き起こす不思議な現象に着目した教材開発をした結果、共鳴現象を利用したワイングラスの破壊が成功したので、その実践例を報告する。〈実践1〉音でワイングラスを割る方法(1)選挙カー用のスピーカーを100Wのアンプにつないで使用する。(2)低周波発信器でワイングラスの固有振動数を探し、その周波数にあった音でグラスを共鳴させる。(3)ストローをグラスに入れてその揺れ具合で固有振動を発見する。(4)ストローの揺れ具合が一番激しくなった(ストローがグラスから飛び出るぐらい)ところで、アンプの音量を一挙にあげるとワイングラスが破壊する。固有振動が一致していれば、瞬時に破壊することができる。(動画・画像あり)〈実践2〉「音でワイングラスを割る」実験を盛り込んだ授業実践(1)大きさの違うワイングラスにスピーカーで音を当て、特定のワイングラスしか揺れない現象を演示。(2)特定のワイングラスしか揺れなかった原因を考えさせる。(3)自作の「目で見える共振器」(昨年開発)を使い、課題を解明する実験を行う。(4)高い声には短い棒が、低い声には長い棒が振動するという気づきから、特定のワイングラスにあった振動数の音を当ててやるとグラスが揺れやすくなることを見いださせる。(5)身近なところに共鳴現象があることにふれる。→再度、ワイングラスを揺らす実験を行い、音を大きくするとどうなるか訪ね、ワイングラスを割る実験を見せて、音が引き起こす面白さや不思議さを実感させる。音でグラスを割った瞬間、生徒からは驚きの大歓声があがった。授業後の振り返りにも、身の回りの共鳴現象として、音楽室である特定のピアノ弦をたたくと周囲の楽器が鳴ったり、通る車によって窓ガラスが揺れたりする現象があげられたりして身近な生活との関連も図ることができた。
著者
岩山 訓典
出版者
旭川医科大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015 (Released:2015-04-16)

サンプル : アスピリン(ASA)腸溶錠100mgとテルミサルタン(TEL)錠40mgを1錠ずつ一包化した。保存条件 : 両薬剤が接触した状態で恒温恒湿器内に温度を30℃、湿度は75%RHまたは93%RHの条件下において1週間静置した。評価法 : 日本病院薬剤師会「錠剤・カプセル剤の無包装状態での安定性試験法について(答申)」に従った。結果 : 配合(形状)変化 : 両湿度条件でも変化が確認され、特に93%RH条件下では、TELの外観変化は著しく、以後の評価に影響を及ぼす可能性があるため、30℃/75%RH条件を採用した。・重量変化 : 保存前と比較して、両錠剤とも増加したことから吸湿の関与が示唆された。・硬度 : 両薬剤とも低下する傾向が見られたが、いずれも規格値内であった。・溶出試験 : ASA溶出率は40%であり、規格値外となった。また、ASAの分解物のサリチル酸は、増加した。TELでは大きな影響は見られず、規格値内であった。・含量試験 : ASA腸溶錠のみ実施した。ASA含量の低下が認められ、規格値外となった。・形状変化の原因探索 : ASA腸溶錠とTEL以外のアンギオテンシン受容体抗薬、ASA腸溶錠とTEL錠80mg (フィルムコーテング錠)との組み合わせでは、配合変化は観察されなかった。配合変化は、腸溶錠コーティング剤とTELとで反応している可能性が示唆された。・他の配合変化の組み合わせ : ラベプラゾール錠(腸溶錠)とTEL錠40mg (裸錠)との組み合わせでは、ASAと同様の配合変化が見られた。・配合変化の回避方法 : 一包化の薬剤を密閉容器に保管し、30℃/75%RH条件下で静置したところ、配合変化は見られなかった。以上のことから、配合変化したASA腸溶錠を患者が気付かず服用してしまうと、ASAの薬効に影響を及ぼす可能性が考えられる。配合変化は、腸溶製剤とTEL錠(裸錠)の組み合わせで高湿度状態により起こる可能性がある。そのため、乾燥剤存在下で保存するなどの湿度対策ができれば、配合変化を防止できると考えられる。本研究は、患者の一包化で服用できるベネフィットの低下を防ぐのに貢献するものである。
著者
角村 法久
出版者
徳島大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-15)

研究目的 : 申請者は、「研究者の自由な発想に基づく研究」の科研費(JSPS)とその対極にある「政策課題対応型研究開発」のA-STEP (JST)の審査制度に関し、主に次の4つの観点に注目して比較検討を試みることを計画した。1. 審査委員選考方法(例 : 科研費は、審査委員候補者データベースを整備し、JSPS設置の学術システム研究センターで、毎年選考を行っている。)2. 審査委員配置状況(例 : 科研費は1段審査委員を細目毎、2段審査委員を分科毎に配置している。)3. 審査過程(例 : 科研費は、書面審査と合議審査の2段審査制をとっている。)4, 審査制度の変更過程(例 : 科研費は平成25年度応募時に、若手研究Bで複数細目選択制を採用した。)研究方法 : 検討に際しては、公募要領、審査委員名簿、審査規程、審査マニュアルなど、科研費、A-STEPに関するJSPS、JST各々のHPに掲載されている情報を基に審査制度の詳細に迫った。これは、公開情報でどの程度審査制度の実態に迫ることができるかを具体的に実践することで、研究機関の事務職員であれば、誰もが分析できるということを明らかにしたいと考えたからである。研究成果 : 科研費とA-STEPの審査制度の違いとして次のことが分かった。科研費審査委員の特徴 : 科研費採択経験のある研究者←→技術移転に精通する研究者、企業経験者 : A-STEP側 科研費の審査委員選考方法 : JSPSにてPOが候補者DBを用いて選考←→JSTにて選考 : A-STEPの選考方法科研費審査委員配置状況 : 第1段審査委員は細目毎←→書類審査は細目毎(【FS】ステージのみ) : A-STEP側第2段審査委員は分科毎←→面接審査は評価委員が対応また、今回の研究を通じて、各審査制度の仕組みがわかったことを踏まえ、研究支援の立場にある事務職員が、どのように競争的資金を分析すれば良いのか、又研究者にどのようにアドバイスをすればよいのか、一例を示すことが出来た。その他 : A-STEPについては、科研費と比較して必ずしも多くの情報が得られた訳ではなかった。これは、技術移転を目指すA-STEPの性格上、「技術」を理解し、「実用化」の可能性を見抜く力が審査委員に求められるが、そのような能力や知識・経験を持っている人材が少ないからではないかと考えられる。従って、基本的には、継続して専門委員を依頼するほかなく、結果的に科研費の審査委員とは異なり、専門委員名について非公開で対応することに繋がっていると考えた。
著者
和田 初枝
出版者
サレジオ工業高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2016 (Released:2016-04-21)

研究目的]本高専の教育課程の特徴である「創造性教育」の一環としてのアクティブ・ラーニングを支援するラーニング・コモンズの設計と試行を本研究の目的とする。[研究方法]1. 本学で実践している「創造性教育」における課題解決プロセスを分析し、必要なツールや課題に応じた資料提供等の人的支援について明確にした。2. 「場」として読書等の他の利用目的とラーニング・コモンズを併存させる物理的空間を構築した。方法は図書館内の暗騒音の計測に基づいた音量のバックグラウンドミュージックを特に閲覧スペースを中心に聴こえるようにしたサウンドマスキングシステムを利用するものである。使用する音楽は先行研究で図書館のバックグラウンドミュージックとして肯定意見の多かった環境音楽とした。3. 「創造性教育」への授業外学習支援を視野に、上記1で明らかにしたツールや人的支援の提供を上記2の場で行い、学生利用者アンケートおよび教員へのインタビュー調査を実施した。[研究成果と今後の課題]1. 提供したツールはディスカッション時に「役に立つ」との認識は持っていることがアンケートから伺えたが、実際には積極的な利用は見られなかった。この結果から授業外学習支援においても課題解決学習時に行われているファシリテートが重要になる。そのためには図書館でも課題解決学習の簡単な講習会等を実施することが有効と考えられる。2. サウンドマスキングシステムで利用したバックグラウンドミュージックについては特に個人学習の際に「リラックスできた」という意見が70%以上を占めたが、「他の利用者の声が気にならなかった」については10%であった。この結果から「場」の構築はサウンドマスキングの視点からではなくバックグラウンドミュージックが図書館利用者にもたらす効果という点から再考した方が図書館利用時のそれぞれの利用目的の効果を高める上でも有用ではないかとの示唆を得た。3. 1および2の結果に基づき課題解決学習方法の講習内容および図書館利用者の利用目的の効果を高める図書館の音環境の検討と提案を今後行う。
著者
伊勢 幸恵
出版者
千葉大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015 (Released:2015-04-16)

研究目的近年、電子情報資源の増加による学術情報の量的増大が著しく、大学生はその中から適切な情報を探索・選択・入手する能力の習得が求められている。現在、ほとんどの大学図書館では様々な形式と内容のガイダンスを通じて、学生に情報リテラシーを身につけてもらおうと努めている。一方で、その習得に有効なガイダンス手法について、学生の探索行動を実際に観察して評価した研究はほとんどない。本研究では、実習形式による2種類の内容のガイダンスを受けた学生の文献探索行動を観察することで、(1)情報リテラシーの習得に資するガイダンス内容を検討し、(2)その効果を測定する手法を開発する。研究方法千葉大学の学部学生1~4年生6名をA、Bの2群に分け、それぞれに動画によるガイダンスを受講させた。A群には国立大学図書館協会が作成した「高等教育のための情報リテラシー基準2015年版」で述べられている「1. 課題の認識」「2. 情報探索の計画」「3. 情報の入手」といった行動指標を意識して作成したガイダンスを受講させた。一方、B群には「3. 情報の入手」の行動指標のみを解説したガイダンスを受講させた。その後、両群に共通の文献探索課題を与え、その探索行動を観察した。行動観察においては、画面キャプチャーソフトを用いてOPACや各種データベースの画面遷移を記録し、一人称視点カメラを用いて学生が図書館内で資料を入手する過程を明らかにした。最後に課題認識に関する事後インタビューを行った。研究成果調査の結果、課題の認識を重視した内容で、かつ実習形式で行うガイダンスは、学生に文献の探索計画を立てさせ、探索後に入手した文献の比較および妥当性の慎重な検討を促すことが分かった。評価手法として、実際の行動観察と個人インタビューを組み合わせることにより、課題を認識した結果が探索行動にどのように反映されるのか、ひいてはガイダンスの効果を客観的に分析評価できることが分かった。
著者
深見 かほり
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-04-06)

本研究では居住者組織主体で住宅地および周辺環境の空間の維持管理に取り組んでいる戸建住宅地の居住者組織を対象に、ヒアリング調査および現地悉皆調査を行なった。本年度はこれまで対象としてきた開発住宅地だけでなく、既成住宅地の居住者組織も調査対象とした。今回の開発戸建住宅地の調査では、設計段階における開発コンセプトが現在のまちなみ維持活動や居住者組織の運営へのどのように影響をしているかという点も調査項目に加えた。まず、建築家宮脇檀が設計した東京都日野市の「高幡鹿島台ガーデン54」では、居住者が設計コンセプトを理解・継承しつつ、開発後30年を経た中で新規居住者を取り込みながら新たな住環境維持活動に取り組んでいる実態が確認できた。また、大手ディベロッパーが開発した、東京都武蔵野市の「ファインコート武蔵境」においては住環境運営活動を行なう居住者組織はないが、設計段階でまちなみ形成とコミュニティ形成を促すものとして敷地内に植栽帯を施すことでまちなみとして植栽帯が続く沿道となるような空間的な仕掛けをした結果、意図通り居住者は植栽を通してまちなみ維持への意識が高まり、また植栽管理を通した近所付き合いが行なわれていることがわかった。一方、既成住宅地の調査では東京都目黒区の既成住宅地の組織化されていない主婦グループが5年以上継続的に続けているハロウィンのイベント活動の事例から、これまで従来の地域組織が担ってきた地域活動とは異なる新しい地域運営の可能性が伺えた。また、沖縄県北中城村大城の「大城花咲爺会」では、世界遺産を有する村内の住環境維持を高齢者組織が中心となり村の伝統や文化を守りつつ美化活動を行っていること、高知県安芸市の「土居廓中保存会」の活動では伝統的集落の保存を中心とした住環境の維持を若手の新規居住者が中心になり取り組んでいる実態が確認できた。今年度の調査を通し、設計段階での住宅地の空間的デザインはその後の住環境運営活動に影響する可能性、また住環境運営活動を担う人材について従来型の地域組織によらない新たな組織構成の知見を得ることが出来た。
著者
直井 雅文
出版者
埼玉県立越谷北高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

月明かりは,一般に太陽光を直接月が反射したものである。しかし,三日月より細い月を見ると,太陽光が照らしていない部分も淡く見えることがある。これは,地球で反射した太陽光が月を照らしているもので,地球照である。また月が地球の影に入る皆既月食の時にも,月は完全に暗くはならずに赤銅色にほんのり見えることが多い。これは,太陽光のなかで散乱されにくい長波長の(赤い)光が地球の大気を屈折しながら回り込み,月を照らすためである。そこで,皆既月食および地球照を通常の月明かりと比較する分光観測をして,地球大気による吸収や散乱の影響を間接的に調べることが可能になる。これらの月の光を分析するために,低分散だが小型軽量の分光器を作成して観測に望んだ。2007年は6年ぶりに皆既月食が起こったが,曇天のため観測できなかった。しかし,地球照の分光観測に成功した。その結果,地球照の成分は地球大気によるレイリー散乱と地表や雲などによる反射光で説明できることが分かった。月の軌道は地球の赤道面に対して傾いている。そのため,日本で地球照が見えるとき,月から見た地球のすがたは,太平洋が大部分を占めたり,ユーラシア大陸が大部分を占めたり,インド洋が大部分を占めたりする。リモートセンシング技術の文献等をみると,地表の物質によって反射光の分光特性が異なる。そのことを利用して,人工衛星の画像から地球環境をモニターすることが可能になっている。今回観測に成功したとき,月からは太平洋が広く見えていたため,地球照には陸域の植生や土壌の反射光はほとんど無かったようである。
著者
樽木 靖夫
出版者
横浜市立菅田中学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

1.研究の目的と意義本研究では、学校行事に対する中学生の成就感は、個人活動のレベルだけでなく、他者との協力による活動のレベルも含めた因果モデルを検討する。具体的には、自己活動の認知、他者との相互理解、学級集団への理解を説明変数として、個人活動のレベルである自主性に次いで、他者との協力のレベルの要因が成就感に影響するかを体育祭と文化祭での学級劇を対象として検討する。2.方法及び具体的内容(1)質問紙:(1)行事活動における成就感に関する尺度は、「この活動を成し遂げたという達成感」と「またやってみたい、今度やるならこうしたいなどの意欲」の複合的な認知を測定する目的で4項目を作成した。(2)生徒の自己活動の認知に関する尺度は生徒の自主性、協力、運営を測定する項目、(3)他者との相互理解に関する尺度は他者からの理解、他者への理解を測定する項目、(4)学級集団への理解に関する尺度は学級の肯定的理解、学級でのトラブルに関する項目を6段階評定で作成した。(2)測定:文化祭で学級劇を行った中学2年生114名に体育祭後と文化祭後に測定した。3.結果と研究の重要性成就感を目的変数、自己活動の認知(自主性、協力、運営)、他者との相互理解(他者からの理解、他者への理解)、学級集団への理解(学級の肯定的理解、学級でのトラブル)を目的変数として、体育祭後と文化祭後それぞれについて、ステップワイズ方式による重回帰分析を行った。その結果、体育祭後では自主性、協力、他者への理解、運営が有意な説明変数として選択された。文化祭後では自主性、他者への理解、協力、運営が有意な説明変数として選択された。体育祭後、文化祭後のいずれの成就感についても、自主性が最も強く影響しており、協力、運営とともに自己活動の認知、さらに、他者への理解も影響していた。すなわち、個人活動のレベルの変数だけでなく他者との協力のレベルの影響が確認された。以上のように、学校行事における集団体験の重要性について、成就感の自己評価の側面より、個人活動レベルの要因と他者との協力レベルの要因の影響の重要性が示唆された。
著者
手塚 恒人
出版者
松川東小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

新しい学校に来て、竹踏み切り板、"竹低鉄棒(高さ1m)"、"竹高鉄棒(高さ1.7m)"を作って、体育館や廊下へ置き、竹踏み切り板では空中回転を、"竹鉄棒"では逆上がりや足掛け上がりや前後支持回転などを指導した。その結果、子供たちの技能は向上し、運動会に全校羽人ひとりひとりによる「ぼくのわざ、わたしのわざ」という種目で得意技を披露することとなり、参観者から大きな拍手をいただいた。また、竹フラフープ、竹カスタネットを作って全校ダンスも披露した。全校キャンプでは、竹のはし、竹さいばし、火吹き竹、竹ぼうきなどを作った。竹を使ったコンパスを開発した。3・5年の子供たちは、算数のとき、竹コンパスは使い易いといって、単元テストでも使っていた。大きな竹コンパスも作り、校庭いっぱいにコンパスアートを描いた。算数や理科の実験でも竹を大いに利用した。竹の皮を使った中華風ちまきや竹の子料理を作り、全校で賞味した。秋の遠足は全校、竹の皮に包んだおむすびを食べた。高学年は地域の高齢者クラブの方たちに指導していただき、竹の皮でぞうりを作り、遠足ではいた。12月に3年生以上、竹を使って来年の干支、寅を制作した。アイディアスケッチを3回させたので、構想がよく練られた。地域の話題になった。音楽会には、全校バンブーダンスや尺八を披露した。全校で竹うちわを製作した。低学年は参観日に父母といっしょに制作した。高学年はひとりでできた。その他、竹ぽっくり、竹水鉄砲、竹空気鉄砲、竹馬、竹掲示板、竹そり、たこなどを作った。今では子供たちは竹で何でも作ろうとする。地域の人たちも竹の教材化を賞賛している。こういった成果は近隣の学校へ広がりつつある。
著者
山田 文男
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

平成20年10月から平成21年3月末の期間に、東京都23区を主として神奈川県・埼玉県・千葉県・群馬県・栃木県・茨城県内に存在する木造建物による理髪店の現地調査を行った。なお、調査中理髪店の隣や近くに同業種で建築形態が似ている美容店の存在が多くあったので、理髪店の近隣に美容店があった時は調査に加えた。調査数は理髪店が184棟、美容店が60棟の合計244棟であるが、理髪・美容店舗は毎月第2・3週が連休であることや、お客が来店中は基本的には内部の調査は出来ないので外観・内部の調査及び、経営者のヒアリングまでできたのは理髪店71棟、美容店7棟、合計78棟で全調査数の約32%である。理髪店は国民の生活衛生を担っているが、理容師法により建物の構造設置基準の遵守、衛生設備等の管理、保健所の年1回の定期検査等がある中で、理容師法上理髪店と美容店の同居営業は認められていない。「1000円カット」の店舗は理容師法の構造設置基準を逸脱していないことや、お客の需要により今後増加傾向にあるが、衛生設備の維持管理がおろそかになりがちなので許認可権のある保健所の監視が大切である。さらに、駅前に床面積が広く低料金のチェーン店の進出によりこれまでの住宅街の理髪店へのお客が減っていることや、経営者の高齢化で店を閉じていること。東京都や他の六県でも大正時代や戦前の木造建物が存在しているが、東京都内は当時のままの造作が残っている店舗はなかったが、埼玉県内では4棟存在していたことで、当時の理髪店の建物の構法・使用材・プランや洗髪器具や衛生器具及び椅子といった設備からも室内の造り方にも大変に影響を受けており、建物の外内部の使用材や衛生設備の状況を判断することにより、建物の建設年代や経過年数がおよそ把握できるようになった。そして、経営者のヒアリング及び建物内の実測ができたことで、木造建物による理髪店の歴史的変遷や建築学形態について詳細な成果を得られた。
著者
吉澤 孝幸
出版者
大仙市立大曲中学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-15)

1. 研究目的 : 本研究では、授業改善の手段として「CAN-DOリスト」を取り入れることで、生徒のスピーキング力や教師の組織的な指導力の向上にどのような効果が見られるのかを検証することを目的とした。2. 研究方法 : 研究を実施するにあたり「拠点校・協力校制度」を活用し、拠点校及び協力校2校の中学3年生247名を対象とした。共通の実践内容として、スピーキングの前に原稿を書かず、メモから英文を口頭で構成するという手法を取り入れ8ヶ月間授業を実践した。拠点校においては「CAN-DOリスト」を到達目標として生徒に意識させ指導を行った実験群と「CAN-DOリスト」を評価の手段にのみ活用した統制群に分け授業を行った。これら試みを量的に検証する手段として、4技能で構成される外部テストを活用した。3. 研究成果 : ライティングにおいて生徒が書いた「文の数」、スピーキングテストにおける「アティチュード」の得点、そして「英語の問いに対する応答」の正答率において、実験群の方が統計的に有意に高い傾向が見られた。次に、共通の指導に対して、拠点校と協力校の生徒間で意識の差が生じるのかを検証するために質問紙を実施しクロス集計を行った。その結果、3校の生徒間でリッカート尺度の積極的肯定的回答に有意差は認められず、3校とも積極的肯定の割合が高いことが認められた。このことから、導入した指導方法は、拠点校・協力校とも同じ程度の影響をもって取り入れられたことが明らかになった。本研究から「CAN-DOリスト」は4技能以外の情意面にも影響を与え、教室における積極的な行動様式を生み出す可能性を示すことができたことは大いに意義があったと言える。また、拠点校が協力校への波及効果の程度や、受け入れ側の教員はどのような意識をもっているかを明らかにできたことで、今後の事業を継続していく上でも有用な情報となると考えている。