著者
久保 義博 小善 圭一 瀬戸 陽一
出版者
DEEP OCEAN WATER APPLICATION SOCIETY
雑誌
海洋深層水研究 (ISSN:13458477)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.71-76, 2002-12-20 (Released:2010-06-28)
参考文献数
10

富山湾の深層水から単離した珪藻Nacicula directa (W.Smith) Ralfs (以下N. directaと略す) の水抽出液にhyaluronidase阻害活性が認められることを明らかにした.水抽出液のエタノール不溶性画分におけるhyaluronidaseの50%阻害濃度 (以下IC50と略す) は28μg/mlを示し, 市販の抗アレルギー剤として有効性が注目されているクロモグリク酸ナトリウム (以下DSCGと略す, IC50: 110μg/ml) より4倍も高いことが明らかになった.また, エタノール不溶性画分に含まれるhyaluronidase阻害成分は熱や広い範囲のpHに対して安定であった.このようなことから, N. directaのエタノール不溶性画分はアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー性疾患の新しい治療薬の可能性を示唆しているように思われる.